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パーク株式会社
代表取締役 秋山 道さん
広報誌を通して、街再生を考える
広報事業やイベント事業を展開。まちのカルチャー教室の「まちカル」なども実施。本人は休日に車でドライブしてほかの街を見て歩くことと食べ歩きが趣味。「仕事がライフワークになっちゃった」と街づくりが生活のすべてになっている。
- Owners Company
- パーク株式会社
泉町二丁目商店街振興組合
- TEL.029-350-2557
- http://www.park104.com
- 水戸市泉町2-2-30 石川ビル3-201
水戸の中心市街地の地盤沈下に一石
様々なアイデアを提案、実行する
東京・世田谷生まれの秋山さんは2歳のときに父親の転勤と共に水戸へ転居。水戸で青春時代を過ごしたのち、尚美音楽短大を卒業、飲食店関係の仕事に就きま した。全国展開する有名フレンチレストランのホールマネジャーとして活躍し、その後、北欧家具などの輸入販売のバイヤーに転身。11年前に親戚の印刷会社 が新たな事業を立ち上げることになり、その責任者として水戸へ戻ってきました。
印刷会社に3年間従事して、独立したのは2005年。水戸の泉町二丁目商店街振興組合の広報誌「IZM(いずむ)」の編集を手掛け、それはやがて秋山さんが水戸の街づくりに大きな役割を果たすきっかけとなっていきました。
「最初は私のことは誰も知りませんでした。IZMの編集も泉町以外の店も取り上げたりしたので、いろいろなご意見も頂きましたが、日本唯一の個性あるマガジンになってきました」と秋山さんは自負します。
IZMの編集や泉町商店街での活動を通して、秋山さんは水戸の商店街に対する危機感を抱きます。そのひとつとして旧水戸医師会館をクリエータービルとしてリノベートし、街の活性化に努めようと「PARK IS」の運営に取り組みます。
しかし、順調に事業が進んでいくかに見えた3年後、東日本大震災に見舞われます。ビルは大きな被害を受けて解体することになりました。それでも秋山さんの 水戸の街に描いたグランドプランは揺らぐことはありませんでした。秋山さんは「このままでは3、4後には水戸の街は潰れてしまう」と、数々の施策・提案を 実行に移していきました。そのひとつが「泉町会館」の有効利用でした。
「泉町会館は戦前は火の見櫓のある施設だったのですが、水戸の空 襲で焼失してしまいましたが、幸いに設計図が残っていたので、2階部分を復元して復興しました。今回の震災でも残ることができた戦災、震災の復興のシンボ ル的建物なのです」と秋山さんは泉町会館に注目します。
「水戸の上市地区は水戸駅から大工町まで19もの商店街がありながら青果物を扱 う店が少ないのです。水戸京成百貨店さんにもありますが、お値段も相応です。しかも、三の丸、五軒地区の高齢化率は全国的にみても非常に高い地域なので す。そこでファーマーズ・マーケットを始めたのです」と、野菜販売に取り組みます。
そこでは重い荷物に難渋する高齢者のためにデリバリーサービスも行うなど、秋山さんは地域の特性を見据えたサービスも展開します。
また「泉町会館では夕方、ビアホールを開いています。近所の飲食店主が自分の店の開店前にサービスしてもらうことで、その後、自店への誘導も図れるので す」と飲食店間の利害を超えたアイデアも実践。泉町のシンボル施設として、泉町会館は街の賑わい創出に大きな役割を果たしているのです。
さらに、秋山さんは街の人通りの少なさに着目します。「泉町などの来街者は減少しています。人通りが少ないのであれば、自分たちが外へ出ようと呼び掛けま した。1日2、3回でも店に閉じこもってないで外へ出て、掃除でも何でもいいから出てみようと。街に人がいれば、人は集まって来るものなのです」と、秋山 さんは言います。
また、上市地区のランドマークである水戸京成百貨店の来店者を街に呼び込めないかと画策しています。「京成さんの滞在 時間は平均1時間です。このお客様に街に3~4時間滞留してもらうために、お子様を預けられる施設やカフェやオープンギャラリーなどが必要です」と、賑わ い作りへのアイデアを提案します。
IZMというマガジン媒体を通して、水戸の街を見つめてきた秋山さんは「水戸バー・バル・バール」という街飲みのイベントの仕掛け人でもあります。
「単純に飲み食いするイベントですが、最初は10数人ほどで連日連夜、ボランティアで準備しました。4回ほど開催しましたが、参加店舗、参加者数とも日本 最大級の催しになりました」と、「水戸バー・バル・バール」を全国から視察が訪れるという茨城・水戸発のイベントに育て上げたのです。
また、「震災をきっかけに、水戸市民会館を上市へという機運が盛り上がりました。水戸駅から大工町の19の商店街のハンコがそろって要望書が出来上がった のは初めてのことです。さらに三の丸、五軒の地区住民の要望書も提出できてネットワークが出来つつあるのです」と、秋山さんは水戸の商店街全体の結束の大 切さを強調します。
秋山さんは中心市街地の商店街について「水戸はこれまで広域性のある街で近隣から人々が訪れていました。でも来街者 は減り、これからは地域密着型になっていくでしょう。その一方で、水戸の文化や歴史を大切にし、水戸らしさを若い人にしっかりと継承していくことが大切な のです」と、オール水戸で未来を切り開いていく必要性を訴えています。
これから起業する方への一言
“最初から利益追求を考えてはいけない。”
最初から利益追求を考えてはいけない。いかに周りの人の役に立てるかを考えることが必要だ。自分は商店街の広報誌を作っているが、これを見ていただく違う 地域から来た人には泉町も南町も関係ない。「水戸」という土地を考えて編集している。目先の狭い視野ではなく、グローバルな視点も忘れてはいけないだろう。