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有限会社 エイトプランニングオフィス
代表取締役 吉澤 収二さん
社員研修制度を導入し
マルチ社員を育てることに力を注ぐ
日立一高卒。写真館としては後発ながら県内に9店舗を展開。来春には水戸に10店舗目を開設予定。社内研修制度を充実させ、マルチタイプの人材を育成。老舗写真館や大手写真チェーンと肩を並べる企業に成長させた。趣味はウオーキングと料理。
- Owners Company
- 有限会社
エイトプランニングオフィス
- TEL.0294-36-4743
- http://www.eightstudio.com/
- 日立市大久保町1-2-12
日本一楽しい写真館を目指し多店舗を展開
衣装レンタルの先駆けとして、競合店との競争に勝ち抜く
茨城の写真館の御三家の一つに数えられる「エイトスタジオ」。
その創業者である吉澤社長は生粋の茨城県人で、今では県内9店舗の写真スタジオとブライダルショップを構える業界では知らない人はいない存在の企業へと成長を続けています。
高校時代にいわゆる3Kと呼ばれるバイトで貯めたお金で念願の一眼レフカメラを購入。
当時としては大卒の初任給の3カ月分にあたる高級カメラを手にしました。
そのころは報道カメラマン志向で、大学卒業後写真専門学校へ進学を決めました。
「親に入学金や授業料などを払ってもらい生活費のためにバイト生活を始めましたが、わずか3カ月で中退してしまいました。
このままではいけないと感じて、モノクロの現像所を経て、テシコ(旧テレビ写真工業)という会社へ勤めました」と、吉澤社長。
そこでは現場の撮影ではなく、もっぱら現像や写真の修整を担当。
テレビ業界の裏事情なども体験したそうです。
その後、高校の後輩である奥様の実家であった日立市大久保町のビルの一階に「エイトスタジオ」を設立、写真館とカメラ店を開業しました。
しかし、商売人ではない吉澤社長は経営のノウハウも知らない素人でした。
奥様の実家は元々、木材店を経営していて、頭の下げ方など商売のイロハを一から勉強することになります。
「頭の下げ方など、お母さんに何度も教わりました。
あいさつの基本や接客対応などを学んだのです」と、創業のスタートは決して華やかなものではありませんでした。
そんな「エイトプランニングオフィス」ですが、開業2年目に結婚式場の写真撮影の仕事の依頼を受けることになります。
日立二高のそばに誕生したブライダル施設の「東京館」がオープンし、そこで「エイトスタジオ」がブライダルフォトの仕事を任されることになったのです。
「創業以来、妻ともう一人の社員と3人でやっていましたが、これがひとつの転機になったのです。」と、吉澤社長は話します。
結婚式場の仕事は順調に進みますが、吉澤社長は「大手の会社に依存するいわゆる『コバンザメ商法』では、元の鯨やサメがだめになったときに、自分たちもだめになる」と、新たな事業開拓を目指すことになりました。
そのころ、ご自身の子どもたちが七・五・三を迎え、衣装を着せて、記念撮影を行いました。
その時に、七・五・三の衣装の貸し出しというひらめきを感じて、子どもをターゲットにした衣装貸し出しを発案しました。
「それまでは年間でも七・五・三の撮影は100件をこえることはありませんでした。
せいぜい60組ぐらい。
衣装のレンタルを始めたら年々倍々でお客さまが増えていきました」と、衣装の貸し出しが爆発的なヒットを生んだのです。
子どもの成長は早く、七・五・三の衣装を買うことに抵抗のあるものです。
それをレンタルすることで一般家庭での出費を控えることが出来ます。
さらに、子育て世代は家を新築する世代であり、将来の学費や生活費に大きな出費も控えており、それが七・五・三衣装のレンタル事業とベストマッチしたのです。
100組だったのが翌年には200組、さらにその翌年には400組、さらに800組...とこの取り組みが成功への階段をかけ上がるきっかけとなりました。
ユーザーはほとんどが新興住宅やアパート、社宅住まいの人で、リーズナブルに七・五・三の撮影ができる「エイトスタジオ」はこれらの親御さんの心をつかみました。
当初、事業発展のきっかけとなった「東京館」は閉館し、吉澤社長のいち早い事業展開への目論見は見事に当たりました。しかも、現在は、七・五・三、成人式、結婚式と人生の3つの節目における記念撮影という分野で、次々と店舗を展開。
日立を地盤に、水戸からつくばへと事業は拡大する一方です。
会社経営が拡大する一方、写真界はデジタル化という新しい時代を迎えました。
吉澤社長は「デジタル化によりプロの技術が一般化してしまった。
あらゆるノウハウが提供されており、笑うとシャッターが切れるカメラなどもあり、より一層の努力が求められる」と話します。
日に日に進歩する技術革新に吉澤社長は「以前テレビで見たのですが、これからのサービス業は一つに安売り競争に勝ち抜くか。
二つに富裕層になびくか。
三つ目に新しい価値観をお客さまに提案するか-という生き残りの手段が紹介されていました。
もちろん、うちが目指すのは3番目の新しい写真の価値を提案することです」と、新たな写真の可能性を追求する姿勢を強調します。
大手企業を含め、厳しい競争が展開する写真業界で一歩一歩成長の歩みを続ける吉澤社長は「強豪に勝つためには毎日コツコツと積み上げていくことが大切ですね。
あきらめないことが勝ち抜くコツなのかもしれません」と言います。
それは会社経営ばかりでなく、人間として生きる基本的な指標でもあります。
一つの成功にとどまるのではなく、吉澤社長と「エイトスタジオ」の前向きな歩みは人が成長する過程を映す鏡として、多くの示唆に富んでいました。
これから起業する方への一言
“マルチに仕事をこなせる人材を育てるのが
これからの経営者に求められるだろう”
社員には一人三役をできる研修を行っている。ただ与えられた仕事をこなすのではなく、マルチに仕事をこなせる人材を育てるのがこれからの経営者に求められるだろう。
■転機のきっかけを見逃すな
■マッチ棒のような柱でも束になると大きな大黒柱になる
■考え尽くして、成功へのプランを作る