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学校法人 佐山学園
理事長  佐山 等さん

国内有数の動物専門学校を創立
多くのトリマーを輩出

東京都出身の佐山理事長は、グレート・デンを飼うために茨城に転居。トリミングサロンからトリマーを育てる学校を法人化し、動物を総合的に学べるアジア動 物専門学校を創立。生活の中心は常に犬だが、音楽の趣味も。全米チャンピオン2度の栄誉に輝いた世界的に知られている犬のプロフェッショナル。

Owners Company
学校法人 佐山学園
TEL.0299-35-5380
http://www.aaa.ac.jp/
石岡市貝地2-8-38

生涯の友・グレート・デンで全米チャンピオン2度
犬のトリマーから動物共存の人間教育へと歩み続ける

優しい巨人・犬の中のアポロン神と呼ばれる大型犬種のグレート・デンに魅せられ、「いつか大人になったら飼おう」と幼い頃から憧れていたという佐山理事長。そしていよいよ犬を手に入れ、佐山理事長の長きに渡る犬との歴史がスタートしました。

 「元々、母親が犬のブリーダーをやっていました。母親の影響で幼い頃からドッグショーなどを見ており、将来は犬と触れ合える仕事をしたいと思っていました」と佐山理事長が犬の世界へ足を踏み入れるのは自然の流れだったようです。

  都内の高校を卒業後、当時としては全国でも数少ない犬の専門学校「東京愛犬総合技芸学園」に入学。男性としては珍しく、トリマーの技術を学びます。「それ まで母親にもグレート・デンを飼いたいと言っていました。成人したのだから夢を実現させようと、グレート・デンを飼える環境を求めて21歳の時に茨城の小 美玉市に引っ越してきたのです」と、グレート・デンの飼育環境を優先させて東京から茨城へと移り住み、念願の犬舎を建てることを実現させます。

  やがてアメリカ留学中だった百合子夫人と出会い、結婚。夫人もやはりケリーブルーテリア(テリア犬種)を愛する愛犬家で、二人は石岡駅前に犬のトリミング サロンを開設しました。愛犬家のトリミング需要の拡大に伴い、茨城のほかにも東京、千葉などにもサロンを開設。トリミング事業は成長を続けます。法人化に 伴い、社名は夫婦がお互いに愛する犬種名からとった、「デン」と「ケリー」を合わせ「株式会社デン・ケリー」とし、犬を中心とした事業を発展させていきま した。

 佐山理事長はその後、トリマーの育成事業をスタートします。「茨城愛犬美容専門学院」を水戸に設立。サロン経営からトリマー養成へと大きく舵を切ったのです。

  7年前には石岡市内に「アジア動物専門学校」を創立。介助犬や聴導犬を育成する認可を得た国内唯一の教育機関として、多くの学生たちが学んでいます。そし て、茨城愛犬美容専門学院は高卒者はもちろん転職希望者や主婦、中卒者でも受け入れ可能なトリマーの養成学校「茨城愛犬ビジネススクール」と名前を変え、 これまで1000人以上のトリマーを輩出するなど人材育成に力を注いでいます。

 このような教育事業拡大で多忙な生活を送る一方、佐山理事長の生涯の友であるグレート・デンに対する愛情は変わることはありませんでした。現在も14頭のグレート・デンを育てており、アメリカやフィンランドなどの海外でも佐山理事長はグレート・デンを飼育しています。

  愛犬家の多い欧米ではグレート・デンの世界大会が行われており、佐山理事長の飼い犬が何と2001年と2003年に第1位に輝くという栄誉を獲得している のです。全米1の座を2度も日本人愛犬家が獲得したのは知られざる快挙です。その名誉にも佐山理事長は「世界中の愛犬家が集まる大会で23年間欠かさず参 加しているのは私だけかもしれません。毎年、私のグレート・デンは上位に入っているんです」と、謙虚に語ります。

 こうして日本人である 佐山理事長が優秀な成績を収め続けていることは大変なことだそうです。「この世界ではラインといって、犬の血統を追うことをそう呼ぶのですが、フィンラン ドにも同じラインを追っている方がいました。その方から犬を買うとき、フィンランドで『日本人に売るなんて、日本人は犬を食べる国だぞ』と間違った誤解を 受けてひどいバッシングを受けたそうです」といったエピソードもある程。こうした実績は「常に犬を中心に物事を考えている」というように犬に対する愛情そ のものが自然と結果となって表れているようです。

 世界が認める犬のプロ中のプロ、佐山理事長は国内の各種ペット関係の協会、団体の要職 も務めています。「ペット業界の売上は全体で1兆3000億円あると言われています。少子高齢化でペットを飼う人は減少するのかと心配されていますが、社 会環境もペットと共生しやすくなってきています」と佐山理事長。

 さらに「日本ではひどいブリーダーなどが話題になることがありますが、 日本のブリーダーも世界レベルになってきました。賃貸マンションなどでも動物とともに暮らせる場所も増えています。ようやく、日本でも犬との共生が流行か ら文化になってきたようです」と佐山理事長は正常なペットとの共存社会の到来を喜びます。

 また「動物の介在療法や介在教育なども行われてきています。アジア動物専門学校ではあらゆる動物に対応できる人材を育成しており、水戸のスクールでは求人率300%です。これからも発展が望める分野ではないでしょうか」と佐山理事長は話します。

  水戸市内のスクールを見学すると、多くのトリマーを目指す生徒さんが1日30~40頭ものモデル犬のトリミングに励んでいました。犬のエステや老犬ホーム まで生まれてきている犬を含めたペット業界。動物と関わる生活が佐山理事長の言う「文化」に発展してきた日本で、その人材を育成し続ける佐山学園の社会的 役割はますます重要性を帯びてきているようです。

 グレート・デンから始まった佐山理事長の犬との歴史は終わりを迎えることはありません。

Pick up Success in IBARAKI

“常に犬を中心に物事を考えてきた結果”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
茨城は捨て犬も多くワースト県だったが犬に対する環境は良くなっている。意識も向上しており、トリマーとして独立していく余地はあるだろう。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
何かを始めたら成功したい、会社を大きくしたいと思う気持ちはわかるが、焦ることなく10年、20年、30年やって、結果がついてくるものだ。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
学校法人としてホームページで学校を知ってもらう。また、専門学校では進学相談ガイダンスなどに参加して生徒募集を行っている。

これから起業する方への一言

“拙速な判断をしないで、長く続けることが大切”

私は会社を大きくしようと思ったことはなかった。ただ、グレート・デンを飼いたくて始まったのが原点だ。トリマーさんにも「犬が嫌がっているよ」「犬がかわいそうだよ」と犬の気持ちをアドバイスしている。カットが上手くなることだけが大切ではなく、本当に喜ばれるのがプロ。向き不向きを早急に判断しないで、長く続けることが大切だ。

■常に犬中心に物事を考える
■動物との共存社会は今後需要が増す
■ペット社会は流行から文化へなってきた



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