President file
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TOWTO(トウト)グループ
CEO  阿部 多賀也さん

県内外に6拠点をもち、
ショッピングモールを展開

ショ ピングモールなどの大型商業施設の開発を手掛ける。茨城県には37歳になって会社を起こし、現在、仙台、福島、茨城県内に営業拠点を展開。阿部CEO自身 は県内出身の奥さまと結婚。多忙の合間の週4日は保育園に迎えに行く4歳の子どもの子育てが趣味。スキーの指導員の資格をもつなどのスポーツ・イクメン。

Owners Company
TOWTO(トウト)グループ
TEL.029-291-6628
水戸市酒門町4365-1-2F

街の再生に向けて積極的に不動産開発
法律の専門知識を生かして「商店街」再生を目指す

阿部CEO(最高経営責任者)は「株式会社東杜開発」「株式会社東杜」「株式会社エフアンドピー」「グローバルダイニングKORE庵」などを傘下に収めるグループ会社「TOWTO(トウト)グループ」を率いる若き経営者です。

社名の「東杜」というネーミングでピンと来る方もいるかもしれませんが「東の杜」といえば「仙台」のこと。そう、阿部CEOは宮城県仙台市出身なのです。地 元の進学校を卒業後、中央大学法学部へ進学。卒業後は大手デザイン会社に入社されました。そこで主にビルやマンションなど、屋上等に看板を設置する仕事に 従事します。


法学部の出身でもある阿部CEOは「法律の基礎知識を生かせる仕事に就きたい」と、その専門知識をフルに駆使し、トップセールスを展開していきます。そして入社2年目にして役員に抜擢されるという活躍ぶりだったそうです。


そこで多くの経験と知識を積んだ阿部CEOは27歳にして独立、看板の専門会社を立ち上げ、チェーン展開を図ります。「当時は350人ぐらいの社員を抱えて いました。しかし、社会的にバブルの時代は終わり、小売業界もネット販売などに移っていきました。そのような社会情勢で、『メーカー』になるのではなく 『卸』の仕事を手掛けたいと思っていたのです」と、阿部CEOにはさらなる高みを目指し、前へ突き進んでゆくのです。


その思いが実現するのは、阿部CEOが37歳の時です。「茨城には弟がいて、建築関係の解体や内装・外装などの総合的な会社をやっていました。その縁で、水戸に『東杜開発』を立ち上げたのです」と現在の会社を設立されたそうです。 


同社は市街地や郊外にショッピングモールを築いたり、リノベーションが必要なビルを買い取り、賃貸業務等を行う不動産開発会社。積極的なM&Aも手掛け、土地やビル再生に多くの実績を誇る会社です。まさに、法律の知識が豊富な阿部CEOにもってこいの会社です。


「最初は見ず知らずの土地で不安でした。信用も信頼もなかったのですが、目の前の仕事を着実に実現することに夢中で取り組みました。当時は銀行などの信用もなかったので、すべて自己資金で会社を経営していました」というように、設立当初の苦労を振り返ります。


「ときには大手クライアントの依頼に応えるため、100%のところを200%で期待に応えるといった無理もしました。でも、一度、地元の協力会社などとの関係 が築けると、茨城での仕事はすんなりと進むことが分かりました」と、東杜開発は県内各地でのショッピングモール開発等で実績を積み上げていったのです。


阿部CEOは「例えば県北の高萩市などは大手製紙メーカーが撤退して、地域インフラが低迷しています。大手はこのようなところには進出してこないのです。不 便な地域だからこそ、あえてチャレンジするという大手とは逆の発想で複合業態のショッピングモールを作りました。知恵を絞って大手に勝つためにチャレンジ する仕事は面白いですね」と現在の仕事に強い生きがいを感じている様子です。「法律の知識はもちろんのこと、前職のマンション等の看板や営業スキルも生か されました」と、阿部CEOはそれまでの経験をフルに発揮させてきたのです。
東杜開発はこれまで県内外10数カ所での大型商業開発の実績を誇ります。現在も取手市などでのプロジェクトも進行中です。


阿部CEOは事業発展と並行して、直営でコンビニ3店舗、飲食店2店舗、リラクゼーション3店舗も経営しています。高萩内のコンビニでは隣接地にお年寄りが 集えるゲートボール場も併設するというアイデアを実践。見事、その目論見が当たり、コンビニは今やミニスーパー化するという現象まで引き起こしました。


さらにリラクゼーションの「うたたね」は高級感あふれる店内にも関わらず、業界最安値を実現。「安かろう悪かろうじゃなくて、最大限の満足度を与えたい」と、厳格なコスト計算に基づき、店舗運営を行っています。


 その一方、これらの店舗で働く従業員やパートさんに対する給与は「業界、最高値」という職場環境を実現。地域社会が疲弊していく強風に立ち向かい、地域活性化のための雇用創出にも果敢に取り組んでいるのです。


「日立という土地柄を考慮した場合、体を使った労働者の多い街です。男性を中心に身体をメンテナンスするニーズがあるはずーと確信して店舗展開を図りました」と、成功の背景にはきちんとした計算と理由があることを教えてくれました。


現在、出身地の仙台のほかに福島、茨城などの6カ所の拠点をもつ会社へと大きく羽ばたいた「トウトグループ」。その総帥として、リーダーシップを発揮し続ける阿部CEOの多忙な日々はこれからも続きそうです。


「チャンスは必ずあるはずです。インフラ作りは右肩上がりが大切なのです。人が動けば、もの・金は常についてきます。これからも、行政などと手を組んで、新たなショッピングモール=商店街を作っていきたい」と阿部CEOは再開発事業などにも積極的な姿勢をみせていました。

Pick up Success in IBARAKI

“事業計画書をきちんと作り把握する”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
最初の頃はよそ者に対する壁は非常に高かったが、一度一緒に仕事をすると、今度は温かく迎え入れてくれる地域性がある。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
自分の場合は茨城という土地で信用や信頼がなかったので、最初は自己資金でまかなった。地道に実績を積み上げていくことが大切だ。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
ホームページも作らず、裏方に徹し一切PRはしていない。しかし、直営のリラクゼーション店などはフリーペーパーなどを利用している。

これから起業する方への一言

“どんな業種でもあるときからマイナスがプラスに転換する時間は必ず訪れる”

私は安易に「挑戦してみろ」などとは言えない。石橋を叩いて叩いても、渡らないくらいの覚悟が必要。何度も練りに練った、しっかりした事業計画書を作ることが大切だ。クエッションを一つずつつぶしていく作業を行わなければならない。失敗は借金になってしまう。しかし、どんな業種でもあるときからマイナスがプラスに転換する時間は必ず訪れる。

■大手とは逆転の発想で勝つ
■自己資金を使ってでも事業をやり遂げる意思
■しっかりとした事業計画書を作成する



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