President file
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R ism -株式会社 アールイズム-
代表取締役  片柳 宗久さん

スタッフを大切に、
ユーザーの満足を得る

埼玉県出身。20代からブライダル産業に関わり、企業の立ち上げから株式上場まで経験。直営店舗 水戸「ス カーサ」のほか県内では、つくば市「ラフェリーチェ」などもプロデュースする。コンサルティングなどで全国を飛び回る多忙な日々。

Owners Company
R ism -株式会社 アールイズム-
TEL.048-838-7338
http://www.rism-bridal.co.jp/
埼玉県さいたま市南区曲本1-9-12

プランナーから支配人、そして株式上場と
経験を活かしたリアルな"現場力"で
直営式場、コンサルタントと幅広く展開

東京のデザインスクールを卒業後、広告代理店に勤務し社会人生活をスタートさせた片柳社長ですが、すぐに人生の転機へとつながる"大きな感動"が待ちうけ ていました。その瞬間は、社長の知人と関係のあったホテルの結婚式を見学した時に訪れます。「幸せそうなお二人はもちろん、その舞台裏をささえるスタッフ の陰ながらの努力とその結果に、涙が出るほど感激して、これはすごい世界だと...」。こうして居ても経ってもいられなくなった社長は、即座にブライダル業界 へ飛び込む事になります。

 その後、大手式場のプランナーとして活躍、公私ともに様々な経験を重ねます。そして20代の最後の頃に、また もや大きな転機が...。今となっては、婚礼業界最大手の一つとまで言われる「ベストブライダル」の設立に参加する事になるのです。「プランナーから始まり、 支配人、各式場を統括する総支配人になり、そして会社が株式上場、気がつけば100名を超える社員を抱える企業に成長していきました」。当時はゲストハウ スでのブライダルの黎明期にあたります。ベストブライダルは首都圏を中心にめざましい成長をし、その中心メンバーであった片柳社長は、おのずと業界内で注 目が集まります。なかでも高く評価していたのが、多くの芸能人やVIPなどの御用達レストランを展開していた「ワイズテーブルコーポレーション」。片柳社 長は、この企業がブライダル業界への本格参入の際、婚礼部門の立ち上げのためヘッドハンティングされ入社しました。もちろんここでも今までの経験を十二分 に発揮し見事な成功をおさめる事となります。

 まだまだ躍進は止まりません。次のステージとして選んだのは、当時、北関東を中心にハウス ウエディングを手掛けていた「ディアーズ・ブレイン」。ここでは部長職として各陣営の指揮をとることになりました。ここで初めて片柳社長は茨城とつながり を持つ事になるのです。このことが、首都圏を中心に活躍していた社長が地方ブライダルの楽しさと未熟さとの両面に気付かされ、魅力を感じるきっかけに。こ の思いがゆくゆくの独立へとつながっていきます。

 さらに片柳社長は神戸、首都圏と展開を進めていきます。そんな折、エスクリという株式 上場を目指していたブライダル会社の社長と意気投合し、入社することになります。現場での経験だけでなく、株式上場や経営のノウハウのある人材はそうはい ません。「ベストブライダルで上場の経験が役に立ちました」と爽やかな笑顔で当時を振り返ります。もしかしたらこの人間味あふれる人格も、どんな環境でも 結果を残せる能力に一役買っているのかもしれません。

 やがて招かれた企業で実績を残した片柳社長は、一企業にとらわれない立場として広 くブライダル産業の発展に尽くそうと2008年、ついに独立します。ブライダル運営に関するコンサルティング業務をおこなう「R ism」です。「普通、コンサルに携わる人は責任を取らない。『あとはあなたたちでやりなさい』と言うのがほとんどです。でも、私はコンサルの仕事をする とき、『責任は私がとります』と言って引き受けます」と、片柳社長。その覚悟は数多くの関係者を巻き込み、社員一体となって現場をどんどん改善させていき ます。

 そして、2010年「R ism」は法人化を果たし、直接式場も運営することに。そのひとつが水戸市の"SU CASA"です。当初、東京の企業が運営しており、地元に根付きにくかったそうです。そこで、片柳社長のもとで直営店として経営してゆくことになりまし た。ス・カーサはこの時から2年をかけて、片柳流のゲストハウスへと徐々に変化していきます。一流のシェフとスタッフを揃え、一杯のドリンクにも氷の入れ 方やストローの差し方まで細かく指示。「残念ながらお客さまには分かってもらえない部分があるのですが...すべて本物を提供しています」と片柳社長は語りま す。

 東日本大震災後、茨城でのブライダル産業は2割減、さらに近年では少人数化、少子化、低価格競争と、大変厳しい環境におかれている 業界と言われています。そんな中「ス・カーサ」は主に本当に親しい人達で祝う、少人数の結婚式を中心に運営していますが、大手に負けないだけの利益率を保 持しているとの事。

 その秘訣について片柳社長は「まずは、スタッフ個人にプロとしての仕事を求めています。選手全員がプロであって初め てチームワークが生まれ、大きな素晴らしい仕事ができるのです。プロなのだから、結果を貪欲に狙うスタンドプレーがあってもいい。その位、個の力を大切に しています」とスタッフレベルの重要さを強調。これこそが「ス・カーサ」の顧客獲得の原動力なのでしょう。

 「優秀な女性スタッフなどには、結婚してもぜひ仕事を辞めずに続けてほしいといっています。冗談で『旦那さんの給料分払うから』というのですが」と片柳社長がいかにスタッフを大切に考えているかが分かる、あたたかな一面も垣間見せてくれました。

 とてもパワフルな語り口をみせる片柳社長。全国の式場が待っている限りまだまだ休まるときはなさそうです。

Pick up Success in IBARAKI

“日本で結婚式はなくならない。ブライダルは“人””

質問1茨城は起業するのに適しているか?
列席人数が減少傾向にあり、厳しい条件が続くが、そんな状況でも収益を残せるノウハウがあればチャンス。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
融資でスタートすると返済に追われることになる。少なくても1年間はランニングコストを維持できる資金を用意しておくことが必要だ。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
大手誌「ゼクシイ」と地元フリーペーパーなど、その読者層によって紙面展開を図りながら広告を出している。口コミはあまり参考にならない。

これから起業する方への一言

“社員には夢よりリアルにプロセスを話す”

あえて言うなら過度の期待をしないこと。社員には夢を語るよりリアルにそのプロセスを話すことが大切だ。また、やるからには絶対失敗してはいけない。なぜなら、自分が失敗すると関係者が被害を被ることになる。それだけの心構えをもって、取り組むことをお勧めする。

■優秀なスタッフを揃えることが大切
■起業の際には十分な資金を用意してから
■ユーザーに気づかないところにも全力投球



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