President file
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農業法人 深作農園
代表取締役社長  深作 勝己さん

県内初のオープンキッチン形式で
作る工程も楽しんでもらえる店に

Owners Company
Farmkuchen Fukasaku
TEL.0291-39-8316
鉾田市台濁沢157
直売所、Farmkuchenとも年中無休

農業の本道を踏み外すことなく日々進化
オリジナルの「バウムクーヘン」はモンドセレクション金賞に輝く

 大きなガラス張りの店舗をのぞくと、清潔感あふれる真っ赤なオーブンとこんがりと
焼き上がった円筒状のバウムクーヘンが目を引きます。ほのかな甘い香りとそのふっくらとした姿は、スイーツ好きにはたまらない光景です。

 今や国道51号の鉾田市内では欠かせない存在となった深作農園の直売所に、バウムクーヘンの専門店ができたのは昨年2月のこと。若手経営者の深作さんが、奥様のあゆみさんと二人で
「FarmkuchenFukasaku(ファームクーヘン フカサク)」を立ち上げたのです。

 「バウムクーヘンは縁起もので作る過程も面白い。でも県内には専門店がなく、やってみようと思いました」と深作さん。その決断と実行力に驚かされます。

 深作農園は祖父の代からメロン生産に取り組み、父親の秀喜さんの代に直売所をオープン。
深作さんは農家の長男として、子どものころからメロンの箱折りやハウスの扉の開閉などを手伝って育ちました。やがて、父親の跡を継ぐ自覚に目覚め、明治大学農学部へ進学。そこで教授から「グリーンツーリズム」の講義を受け、農業の可能性を確信しました。

 卒業後、大学で得た知識を実践。「イチゴ狩り」や「メロン狩り」といった分野に踏み込み、積極的に消費者に畑を開放してきました。深作さんは「お客さまの要望に添って、深作農園は変化してきたのです」と、常に消費者の立場に立った経営を目指してきました。

 それは父親の始めたEM自然農法という栽培方法にも通じます。EM自然農法とは最初に農家の健康を考え、農薬を減らすことができないかという発想です。EM菌という光合成菌と酵母、納豆菌などを使ったもので、土壌を豊かにし、しかも病害虫の発生を押さえる健康的な土作りです。その結果、農薬散布などの農家の負担も軽減され、栽培された作物は健康で消費者にも優しい実りを提供できるようになりました。

 常に消費者の視線を感じながら農業に励んできた深作農園のDNAは確実に深作さんの中で息づいているのです。それがガラス張りの店舗設計にも反映されたのです。

 「見せることで、お客さまにも安心してもらえます」と深作さん。丁寧に作り上げる姿を見ることで、お客さまに安心・安全であることをストレートに伝えることができました。

 さらにイチゴやメロンを使った季節商品も開発。農園で生産されたものを使って、バウムクーヘンという加工品に彩りを加えています。

 3月11日の震災では自宅の瓦が半壊、店も打撃を受けました。震災復興に精力を傾けている4月上旬、海の向こうからうれしい便りが届きました。深作さんの作った「HOKOTA BAUMU」と「鉾田の白いやどかり」という2種類のバウムクーヘンがモンドセレクションの金賞に輝いたのです。前例がないW受賞は「農業とスイーツの融合」に向けての大きな励みとなりました。


常に農と食の未来を見据えた深作さんの前進への歩みがとどまることはないようです。



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