「タイヤ販売はサービス業」と社員を教育
県内6店舗でブリヂストンのタイヤと共に成長を続ける
先代のお父様の透さんが創業した「柴山タイヤ商会」は41年目を迎えたタイヤ業界では長い歴史を誇る会社です。
透さんは元々、那珂市出身で笠間市岩間地区にあった採石場のダンプの運転手から、ガソリンスタンドの片隅を借りてタイヤの販売に着手して「柴山タイヤ商 会」を興したそうです。2代目となる柴山社長は、土浦工業高校を卒業後、「将来は父親の後を継ぐなんて考えていなくて、陸上自衛隊に入りました」と言うよ うに、全く別の道を歩み始めます。
「当時は阪神大震災やオウム事件などの時代で、2年間自衛隊に勤めてから地元に帰ってきて、茨城県の職業訓練学校で自動車整備士の勉強をしました」と、柴山社長は父親と同じ自動車関係の業界へと歩み寄っていきました。
しかし「それでも、まだ父親の仕事を継ごうなんて思っていなくて、当時、全国展開していた自動車関連の大手量販店に面接して就職しようとしました」というところに周りからストップがかかりました。
その頃、父親の創業した「柴山タイヤ商会」はタイヤメーカーの最大手「ブリヂストン」のタイヤショップとして成長期にある時期でした。
「父親がブリヂストンと関わっているのに、そのような店に入ってしまっては...」と周囲が猛反対。結局、ブリヂストンのタイヤ館大船店に就職することになったのです。これが柴山社長とブリヂストンタイヤの関わりのスタートでした。
その店は全国でもトップクラスの店舗で、そこで3年間、販売や整備などの仕事を身に付けます。
柴山社長は「その後、実家を継ぐ決意をしたのですが、サービス業なので入ってしまうと休みが取れなくなってしまう。今のうちに見聞を広めたい」と、世界一周の船旅に出かけます。
それは3カ月に及ぶ船旅で、コソボやアフリカなどの内戦や紛争が終わった発展途上国などへ物資を届ける半ボランティアの世界旅行でした。そこで人生の伴 侶を得ることにもなり、大きな収穫のある旅となりました。その結果、「開発途上国のタイヤ事情を見ても、昔の日本もこんな感じなんだろうなと感じました。 さらに日本ではない場所じゃなくて、今の日本で根を張って生きていく」という決意を改めて感じたそうです。
柴山タイヤ商会に入社した柴山社長ですが、当初から2代目社長という扱いはされませんでした。「タイヤマンつくば矢田部店」が「タイヤ館つくば矢田部店」に変更するタイミングで、同店に配属になり一般職として就職したのです。柴山社長26歳の時でした。
その後、同社は一タイヤショップから時代のニーズに合わせて、自動車ユーザーの動向や時代の変化に合わせたサービスを提供し始めます。
「それまでタイヤショップはチューニングをする場所であったり、敷居が高いと思われていた部分がありました。そこで10年ほど前から車検をしたり、オイ ル交換が出来る場所としてファミリー層にも気軽に立ち寄っていただける店舗にしていきました」。こうしてパンクなどの非常時のみのタイヤ店から日常のタイ ヤ店へと店の業態を変化させてきたのです。
柴山社長は「僕の店は車検などをすることにより、より新しい知識も必要とされてきました。ハイブリット車の登場により、タイヤもより進歩しています。常 に最新の知識を得なくてはならないのが自動車産業です。電子化が進み、整備工場などでも最新の電子機器を導入せざるを得なくなっています。私たちも常に研 修会や勉強会を開催して、お客様に最上のサービスを提供できるようにしています」と、スタッフの技術と知識のスキル向上のための努力を惜しみません。
茨城県に住む人にとって車は欠かせない生活上の必需品です。それに密接にかかわるタイヤは最も身近な存在でもあります。
柴山社長は「たかがタイヤですが、訪れたお客様に対していかに弊社のサービスが伝わるかが大切です。サービス業として、気持ち良かったと感じてくれれば 口コミで広がります。しかし、悪口はもっと早く大きく広がってしまいます。タイヤなどの情報をお客様へ一方的に伝えるのではなく、お客様の生活背景まで知 ることで、一層、サービスを提供できる会社にしたいですね」と、ホスピタリティーにも重きを置いています。
ともすればアルバイトなどで賄うタイヤ店が多いなか、そのほとんどが正社員という同社は茨城でも最大手のブリヂストンタイヤの販売店として成長を続けています。
店舗は本社のある「ミスタータイヤマンしばやま」をはじめ、ひたちなか、水戸赤塚のほか「タイヤハウスしばやま石岡」、「タイヤ館つくば矢田部」、那珂など6店舗を展開しています。
自動車保有率では全国有数の茨城県において、同社が果たす役割は益々高まりつつあります。
世界1周旅行で知り合ったという奥様との間には小学5年生から1歳半まで4人の男の子がいる柴山社長。「子どもたちが成長して、『一緒にやりたい』と思えるような会社にしたいですね」と、将来の会社と子どもの成長の姿を重ね合わせていました。
これから起業する方への一言
“自分が持っている願望をエネルギーに変えて”
自分は起業した訳ではないが、笠間青年会議所の仲間などを見ると、ハングリーさを感じる。それは自分に足りない部分なのだが、「親に家を買ってあげたい」などの動機付けを持っている人もいる。自分が持っている願望をエネルギーに変えてビジョンを持って取り組んでいる方や、その仕事が好きでたまらない方が成功する。