President file
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株式会社 アトラクティブ
代表取締役社長  原田 裕二さん

「最高の結婚式」を標ぼう。
常にお客様のために...を考える

ゲストハウス「ディアズ水戸スパニッシュガーデン」とドレスショップ「ザ・ギャラリー」を運営。今秋「ルシェルアンジュ水戸ウエディングシャトー」をオープンさせる。笠間市(旧友部町)在住。趣味はゴルフで、3人の子どものイクメンパパ。両親はかつて水戸で約9店舗の飲食店を経営していた辣腕経営者。

Owners Company
株式会社 アトラクティブ
TEL.029-303-2211
http://www.attractive2007.co.jp/
水戸市中央2-8-8アシスト第2ビル2F

「結婚式場は自らお客様を離している」
挙式を挙げないカップルの増加を危惧し、新展開を図る

 水戸市笠原町の県庁近くにて11月1日にグランドオープン予定のゲストハウス「ルシェルアンジュ水戸ウエディングシャトー」の準備に追われる原田社長 は、今まさに産みの苦しみの最中です。しかし、その多忙さを楽しんでいるようにも見える原田社長の姿には、さわやかさと潔さが漂っていました。

 「最初に入社したのは笠間の石材店でした。ものを作る面白い仕事だったんです」と、ウエディング業界では知らない人はいない存在の原田社長の社会人人生のスタートは意外な職業でした。

 石を通してものを作り上げる仕事に没頭していた原田社長でしたが、21歳のとき、交通事故に遭ってしまいます。「足を骨折し、二度の手術を行いました。しかし、重い石を扱う仕事は出来ないとドクターストップがかかってしまい、石材店を辞めることになりました」。

 「もの作り・手に職を」という想いの強かった原田社長が次に選んだのが、料理人でした。県西地区にある結婚式場の調理場に採用されたのですが、実際に配属されたのは会場設営スタッフでした。

 原田社長は「私としては面白くなかったですね。その後、『調理場で空きが出来たので、来ないか』と言われたのですが、自分は穴埋めに過ぎないのかと思い、調理場には行きませんでした」。

 これが、原田社長の人生を大きく左右することになります。その後バンケットスタッフとして経験を積み、本格的にブライダルの道を突き進んでいくことにな りました。「ブライダルの仕事にのめり込みましたね。ご新郎ご新婦そしてご家族にとって一生に一度の事、感動や喜び本当にすばらしい仕事につけたと思いま したね。」

 その後新しい挙式スタイルのゲストハウスができ、原田社長はその運営会社へと移籍するのです。

 時代は総合結婚式場からゲストハウスへと、結婚式の形態が大きく変わる転換期でした。入社2年後には店長になり、会社の取締役にも就任。会社も株式上場 を目指すまでに成長しました。しかし、大きく成長した会社の運営方針と、あくまでもお客様、現場の声にこだわりたいと考える原田社長との間に少しずつずれ が生じ始めました。そして、34歳のときに独立を決心。

 「ディアズ水戸スパニッシュガーデンと静岡の2店舗を引き継いで、独立しました。やはり不安はありましたね。実際、取締役として全国の式場を管理してい ましたが、自ら経営となると話は別です。しかしパートナー企業やスタッフの応援により、不安以上にチャレンジしようという強い思いが膨らんだのです」と、 原田社長は独立当時の心境を教えてくれました。そして、現在の会社「アトラクティブ」を立ち上げたのです。「その時に実感したのは『人とのつながり』の大 切さでした」と、原田社長は言います。

 「当初は毎日、どのように式場を回せばよいかしか考えられなかった。でも、3年ぐらいたった頃から、1か月2か月先のことではなく、1年後2年後のこと を考えるようになったのです。しかも、水戸と静岡と2店舗をみていると、どちらもおろそかになってしまいます。静岡では幸いにやりたいという人がいたので 譲り、水戸に集中しました」。原田社長はスパニッシュガーデンの経営に注力していきます。

 自らの結婚式場で、「最高の結婚式」を提供したいという高い目標を掲げています。その中でも重要な位置を占めるのが食の部分です。「うちには決められた メニューは存在しないのです。シェフが直接お客様と打合わせして、お客様の希望に応じてメニューを決めていきます。もちろん、ご両家ともに試食をしていた だき詳細を決めていきます」。式場からの提案ではなく、式を挙げるお二人が決める料理をゲストに食してもらうスタイルを作り上げました。

 さらに、「衣装」の部分にもこだわりを持っています。「最高の結婚式」には欠かせないドレスショップ「ザ・ギャラリー」も立ち上げました。

 「プランナーさんは女性が多いのですが、どうしても結婚・出産で仕事を離れてしまいます。ドレスショップは完全予約制なので、そのような女性の方でも時 間の都合が合わせやすい職場です。しかも元プランナーの方ですので、式のことがよく分かり、適切なドレス選びができるのです」と、原田社長は産休明けの社 員の人材活用と挙式のメリットを掲げました。最高の結婚式の提供を通し、全ての人を大切にしたいという原田社長らしい業務形態がここに完成したのです。

 今秋オープンする新しいゲストハウスは高さ25メートルを誇るチャペル形式で、県庁舎に次ぐ水戸市のランドマークになりそうです。原田社長は「結婚式場 自体がお客様離れを起こしている。お客様から離れていっています。この式場は式を挙げるお二人と出席されるゲストのためだけを考えた新しいゲストハウスに なります」。5年後10年度のブライダルのあり方に目を向け、原田社長の挑戦はまだまだ続いて行きそうです。

Pick up Success in IBARAKI

“90%で描いては間に合わない60%で思い切る”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
私が最初に務めた式場はなくなってしまった。時代に合ったあり方があるはずだが、ブライダル産業では式場などの新規参入は難しいだろう。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
今ではなく、5年後10年後の目標から逆算した「今」を見すえた会社の経営計画が大切だ。未来予想図を作ることで、今何をすべきかが見えてくる。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
ブライダル専門誌のほかフリーペーパーなどを活用している。また、地元新聞にも広告を掲載しており、信頼性を高めることも効果的だ。

これから起業する方への一言

“とにかく踏み出す1歩が必要だ。”

次に何をやろうかと考えたときに、完成図を90%まで描いていては間に合わない。60%でスタートを切らないと遅れをとってしまう。とにかく踏み出す1歩が必要だ。だれも全部が分かってスタートする人はいない。若いうちならいくらでもやり直しがきくのだから。やってやるという強い気持ちとふみ出す勇気を持ってほしい。

■「人」のありがたさに感謝する
■今を見るのではなく5年後10年後を見据える
■お客様の最高の仕事を達成する



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