President file
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株式会社 ウーマン
代表取締役  赤上 喜久子さん

各種コンクールでも優勝。
県内有数のトップスタイリスト

洋和装にも対応できるトップスタイリストとして県内の美容業界の振興、発展のために尽くしている。数多くのコンクールなどでの受賞者を輩出。赤上社長自身も 茨城県知事褒章、茨城県ものづくりマイスター、茨城県卓越技能者などを受賞しているほか、後進の指導に当たるための講習活動を展開している。

Owners Company
株式会社 ウーマン
TEL.0294-34-5429
日立市千石町2-5-9

土地勘もない場所で創業して成功の道を歩む
国内外の美容業界で活躍を続ける現役美容師の経営者

栃木県足利市出身の赤上社長は都内の山野美容専門学校を卒業後、インターンとして美容の世界に飛び込まれました。その後、結婚を機にご主人の転勤とともに 名古屋、愛媛、岡山など日本各地での転居生活を送ります。そのような生活の中でも、岡山の地で美容の教師として活躍し続けます。やがてご主人が日立化成へ 転職したことにより、日立市内に居を構えました。

 昭和61年「最初は住宅街の角地12坪の店舗で、私と二人のインターンのみで『美容 室 ウーマン』を始めました」と創業当時の思い出を語る赤上社長。土地勘もない、見ず知らずの土地での船出。しかし、美容技術の評判は徐々に広がり、店舗も手 狭になり、ビルの隣の部屋24坪を借り人を足し、街の美容院から、会社を立ち上げたのです。

 順調に美容業として評判を集める人気店と なった半面、赤上社長の忙しさに拍車がかかります。会社組織にすることでコンプライアンス遵守のため、スタッフの福利厚生、ボーナスなど経営面にも力を注 ぐこととなったのです。さらに、法人として新たな出発を果たした「株式会社ウーマン」は、美容業界全体の発展のためにも尽力していきます。茨城県美容業生 活衛生同業組合、日本美容技術振興センター、全日本美容講師会、ICD世界美容家協会などの美容界での各種公職につき、日本全国を飛び回る多忙な日々を送 るようになりました。

 「一時、美容師の国家試験を廃止するような動きもありました。しかし、美容はパーマ、カラー、カットだけすれば 良 いのではありません。お客さまの髪の毛の質や体質などさまざまです。薬品を扱うのでアレルギーなどにも気を配る必要があるのです。それだけ奥が深い仕事で す。国家資格というのがなくなれば、そのような技術、知識を習得しなくなってしまいます。これには業界全体で反対しました」と、赤上社長。

  さらに「昔、美容師は『でも』『しか』という職業と呼ばれていました。それは美容師でもするか、美容師しかなれない-といった意味でしたが、美容というの は人を美しくする仕事で、お客さまは美しくなられることで、アドレナリンの分泌も活発になり、生活習慣病の予防などにも役立っているのです」と赤上社長は 美容師の地位向上にも積極的に取り組んできたのです。

 会社として県内の美容業界のけん引役となった「ウーマン」はやがて、日立店のほかに水戸店「ウーマンピュア」と「ウーマンレークビュー」と3店舗を展開。社員数も40人を抱える企業として成長を遂げてきています。

  その一方、美容師としてのトップレベルの技術の習得にも果敢に挑んでいきます。技術講習会や各種コンクールにも挑戦。平成5年にはヨーロッパ選手権で銅メ ダルを獲得したほか、平成17年のオール関東ビューティーフェスティバル花嫁化粧着付部門で優勝、同年の全日本美容選手権大会花嫁化粧着付部門で金賞に輝 くなど着実に実績を積み上げてきたのです。

 その挑戦する姿勢はスタッフたちにも引き継がれていきます。マネージャーを務める八田康代 さ んが全日本美容選手権で優勝者と僅差で準優勝を受賞したのを皮切りに、スタッフが次々と各部門で入賞。水戸店店長の木野内雄樹さんがヘルシンキヘアーオー プン2008で優勝を果たし、昨年はスタッフの安成美さんが技能五輪で金賞を受賞するなど、多くのスタッフが国内外の大会で上位入賞を果たしています。

 「コンクールに挑戦するスタッフは仕事が終わった後でも夜中の2時過ぎまで勝つためのトレーニングをしています。私も遅くまで付き合ってしまうこともあります」とコンクールに臨むスタッフへの応援も惜しみない赤上社長。

 「ある時からスタッフには恵まれてきたと強く感じています。一人では一度に何人ものお客さまと接することができません。スタッフたちとのコミュニケーションがあってやっていける仕事。おかげ様でここまでやってきました」と、赤上社長。

  さらに「子どもは2人いますが別の道を歩んでいます。後継者は今のところいないのですが、幼いころの子どもたちには寂しい思いをさせたが、逞しく生きて いってほしいと願っています。女性が仕事と出産・育児の二足のわらじを履くのは大変です」と女性の働く環境への気配りも忘れません。しかし、同社の離職率 は低く、長く勤める社員が多いのが「ウーマン」。その根底には赤上社長の社員に対する心配りが背景にあるのは間違いありません。

 株式会社となってからの会社経営の傍ら、コンクールのチャレンジャーへの教育、美容師や学校に向けての教育、ステージやショーなど赤上社長の活躍は今でも続いています。

 赤上社長は「この仕事は1対1でお客さまと向き合う仕事です。そこでお客さま本来の魅力を引き出すことで、その人の人生も変えることが出来るのです。金銭以上のものを感じることが出来る仕事なのです」と、赤上社長は今日も第一線の現場でお客様と向き合っているのです。

Pick up Success in IBARAKI

“「ウーマンらしさ」を忘れない美容室を維持していく”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
茨城県は、都内などに比べ出店はしやすいが、人口290万人に対し美容室5900店舗。県南県北の温度差はあるものの、美容室は明らかにオーバーストアではある。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
この業界は10年やっても1人前とは言えない。この辺りでは何年かすると独立したがるが、人間性の向上を含め常に学ぶことを忘れてはいけない。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
スタッフの各種コンクールなどの成果が店の評判にも繋がる。業界紙などにも積極的に参加。お客様が店のファンになり口コミで宣伝して下さることがいちばん。

これから起業する方への一言

“常に感性を磨くことを忘れずに”

努力を続ければ、まだまだあなたの中に光るものが生まれてくるはず。常に感性を磨くことを忘れずに、美容師としてのレベルアップに努めてほしい。また、この 業界は育てた人材が独立していくのが宿命。そして人気商売でもあるので、雇ったスタッフも常に一定のレベルを保つように努力しなければいけない難しさもあ る。

■多忙の中でも現場に立ち店をおろそかにしない
■常に挑戦する心を持ち続ける
■美容は楽しい仕事で創造性を豊かにする



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