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株式会社 アットワーク
代表取締役社長  杉浦 時彦さん

良質なファッションを提供、
水戸市内で12店舗を展開

日本大学経済学部卒。医者の家系から衣料店でアルバイトしたことからこの世界へ。水戸市内で12店舗のSHOP展開。ファッションリーダーの秘訣は「血液型 B型ならではの直感性と直情型があるのかな?」という。現在の趣味はクレー射撃と大型バイク。ゴルフは只今休眠中。奥様と娘さんがいるナイスミドル。

Owners Company
株式会社 アットワーク
TEL.029-232-0577
http://at-work.co.jp
水戸市南町2-3-25 アットワークビル3F

水戸のファッションシーンを牽引
将来の水戸の商店街に警鐘を鳴らす

 子どもの頃から運動好きだった杉浦少年は、中学校からバスケットに熱中します。スポーツの他にも、音楽や絵画、建築にもたいへん興味があったそう。その興 味は現在にも生かされており、デザインの専門学校などは出ていないものの、各SHOP・事務所のある自社ビルの内外装から、SHOP関係全てのデザインに 至るまで社長ご自身が手がけた程。「僕はビートルズ世代で、英語のフレーズなどはビートルズで覚えたのです。学校の授業よりもピアノやギター、ドラムなど の音楽に浸る学生時代を送っていました」と水戸での青春時代を語ってくれました。その後、大学は日本大学経済学部へと進学します。


 「それまで水戸では福田屋洋服店(現、株式会社ポイント)でアルバイトしていました。暇な時間がもったいないと感じ、コツコツ、アルバイトして体を動かしている方が好きだったのですね」とファッションの仕事につくきっかけを話してくれました。


 「当時はIVYルックが全盛で、『メンズクラブ』や『平凡パンチ』などの雑誌がファッションの流行を提案していました。VANやKentなどが流行し始めてい て、その流れはやがてJプレスなどへ向かって行くのですが、その店でのアルバイト経験が大学時代にもつながったのです」と当時を振り返ります。


 大学生の感性豊かな時期を東京で過ごし、その一方で水戸でアルバイトしていたSHOPの仕事は続けていきます。仕入れや買い付けの仕事を頼まれるようになっ たそうです。こうして当時一世を風靡したVAN社などに出入りするようになり「いっぱしの業界人」になった気持ちでいました。

 
 一見、華やかなようではありますが、「実家の開業医の後は継がなかったため、親には頼らず生活すると決めていました。大変な時もありましたね。それも、楽しんでましたが(笑)」と、若き日の苦労と努力もお話してくれました。


 その頃、原宿には『BEAMS』がオープン。「たった5坪の店舗からはじまったのですが、もの凄く刺激を受けました」と、杉浦社長。代々木のフリマでも活動 し、そこで知り合った出店業者の社長とご縁があり、一緒にアメリカへ買い付けに行くことになります。「ほとんど遊びに行ったようなもんです」と笑いながら 語りますが、学生時代にこつこつ貯めた貯金を資金に、レンタカーを借りて、北はカナダから南はメキシコまで旅をします。そこで、リアルなアメリカの文化と ファッションに触れたのです。この旅で、自身がアメリカ西海岸のIVY-Trad文化から西海岸のファッションへと意識を変えるきっかけをつかんだといい ます。


 その後、大学卒業前に当時のファッションリーダーである『VAN』への入社が内定。しかし、入社の直前に、『VAN』倒産の報が届くので す。そんな杉浦社長の元へ、福田屋洋服店の社長から「お前のために、サントピアに店を出してやるから、水戸に戻ってこないか」という声がかかります。
 当初は、水戸へ帰る気持ちなどなかった杉浦社長ですが、「自由にやっていい」という言葉に背中を押され、水戸市南町のサントピア5階に店をオープンさせました。その後、男性ファションからレディースまで県内外にわたり店舗展開していきます。


 そして、1986年ついに独立し、株式会社アットワークを設立。男女とも、自分を表現できる、ちょっとスパイスも効いた、様々なテイストのSHOPを展開。 ちなみに、社名の"AT WORK"は、活動中・勤務中という意味。「仕事が半分趣味みたいなものだったから(笑)」と言うように、会社設立当時の社長は、数か月休みもとらずに働 いていたワーカホリック。自社設立に力が入り「無休覚悟」で臨んでそう決めたのだそう。「もちろん、現在の当社規定に休日はありますよ。(笑)」


 現在は路面店、京成百貨店内のレディース店2店舗を含め12店舗を経営し、異業種とのコラボイベントも積極的に開催するなど、多くの活動を見せる同社。ま た、東日本大震災をきっかけに、ネット販売にも重点を置くように。「人通り自体が減り路面店の全体の売り上げも厳しくなりましたが、現在はネット販売でそ の穴埋めができる位の売り上げが確保できるようになりました」。しかし、「ネットでの販売など、販売の形式も変わってきましたが、お客様に商品を売るだけ でなく『スタイル・心を提案しよう』と、スタッフに言っている」と、杉浦社長はあくまでファッションの伝道師としての役割を担うことを大切にしているよう です。


 杉浦社長は「20代の男の子の元気がないのが心配です。僕はカッコから入って、そこに似合う自分になろうと背伸びしたし、頑張った。等身 大 のファッションで満足するのではなく、次のステップを目指して欲しい」と若者にエールを送り続けています。「自分の求める理想の自分を描き、そこに自分を 高めていく。これだけのお給料だからそれの中で暮らす、貯める。もちろんそれも当然だが、それだけではいけない。会社で昇進しもっと稼げるようになる、自 分で商売を始めてみる。そんな、いい意味での野心をもって努力してほしい」。そのために若者には、理想の自分をイメージしてほしいそうです。


 「路面店ならではの、魅力と個性のある店舗展開を目指したい」という杉浦社長の熱意はまだまだ続いていきます。

Pick up Success in IBARAKI

“20代草食系男子は自分で奮い立つ気概を持ってほしい”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
私は水戸にプレッシャーを感じて東京へ出たいと思っていた。結果的に水戸で起業したが、今の水戸には、起業し入り込める余地は十分にある。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
私の場合、時代も良かったのだが、学生時代は自分で稼いだ金で生活し、挑戦した。小売販売は在庫も抱えるので、自己資金は必要だ。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
SNSの必要性を感じフェイスブックなどを活用。社内のコミュニケーションツールとしても利用。どなたも気軽にお友達申請してほしい。

これから起業する方への一言

“対面できっちりと商品の良さを提案することが必要だ”

衣服販売店では新規に起業するのは難しい時代だ。皆さんが知っているデイリーウエアのチェーン店でもやがて行き詰まるだろう。次に目指すのはファッション 性になるはず。私たちの店では本当の意味で良いものを提案している。売れればよい、という商売ではだめで、対面できっちりと商品の良さを提案することが必要だ。

■カッコイイ自分を夢見て自己研鑽をする
■異業種とも積極的な交流を
■夢は常に持ち続けていくことが大切



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