President file
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株式会社 エイチ・エス・ケイ
代表取締役  市毛 慶一さん

県内外に80店舗、
美容の分野でも話題に

「喜びの共有」を経営理念に、店舗を展開。自らは毎朝、本を1冊読破。水戸市倫理法人会の会員として、毎週木曜日のモーニングセミナーにも参加。「地位も 名誉も金も持っていなくても、自分以外の人にはそれがある。それならその人たちに分けてもらえば良い。そのためにコミュニケーションは大切」と話す。水戸 市出身。

Owners Company
株式会社 エイチ・エス・ケイ
TEL.029-302-1838
http://www.cut-hikari.com
水戸市金町3-1509-1

自動車、旅行業から気がつけばカットハウスの経営者
「先進的な自由な競争」で成長を続ける

本人も社会人としての第一歩を踏み出すときには思いも寄らなかった「髪結いの亭主」ならぬ「髪結いの経営者!」。人の人生にはさまざまな紆余曲折が待ち構えてはいるものの、市毛社長の歩んできた道は、時代の流行の波の頂点だけをうまく捉えた男の物語ともいえます。

  水戸商業高校を卒業後、大手自動車販売店に就職。学歴を買われて一旦は経理職に就きますが、「経理は面白くない」と営業職を希望し、車のセールスマンに。 そこでお客様と接する第一線に立ち、人と人とのコミュニケーションの力を磨いていきました。車時代の到来で仕事は順調でしたが、市毛社長が次のステップへ と足を踏み入れたのは旅行業界でした。「大手団体の旅行会社へ再就職したのですが、そこでは旅行の企画で自分の行きたいところを計画して、お客様を集める ことができ本当に面白かった。ほとんどの観光地を巡ることができたのです」と当時を振り返ります。

 時代は高度成長期からバブル経済の 時 代へと突入していきます。団体旅行が次々と組まれ、日本人の団体客が世界各地へと日本マネーを振りまく時代が来たのです。海外ではそれら団体客の引き起こ すマナートラブルなども頻発しましたが、旅行業は堅調に推移し、市毛社長の仕事も充実し絶頂期を迎えます。

 しかし、良い時代は長続き し ません。バブル絶頂期の平成2年の東京証券取引所が、日経平均株価38000円後半の最高値で大納会を終えた翌年から、株価は下降線を辿り、ついに最高値 から9カ月後には2万円割れして、バブル景気はあっけなく終焉を迎えていきました。とはいえ、まだ景気の余韻が残る平成2年に市毛社長は一念発起して独 立。「平成観光」社を立ち上げたのです。その時の社名・平成観光の略名が現在の「エイチ・エス・ケイ」として残されているのです。

 独 立 のきっかけは市毛社長の些細な気持ちの問題だったようですが、社員10人ほどで一時は年間6億円の売り上げを誇る会社へと成長させます。ですが、旅行代理 店はインターネットなどの普及により、個人で宿泊予約ができる時代へと移行していきます。顧客が直接、宿泊ホテルや交通チケットを買える時代になり、徐々 に本業が先細りの状態へと陥るようになってきたのです。

 当時、市毛社長は自動販売機の設置などほかの事業にも力を入れていました。自 動 販売機メーカーは大手電器メーカーなど数社が参入しており、メーカーとのつながりも密にしていた市毛社長は、ある電器メーカーの会長が新規に始めた都内で 7店舗を運営する「1000円カット」の店に注目します。

 「旅行業は2001年の9・11のテロで完全に息の根を止められたのです。本当にどうしようもなくなって、なんとかしないといけない」と真剣に事業を考えた末に生まれたのが先述の1000円カットの店でした。

  自分自身「床屋に行って、今日は髭そらなくても良いよ、とか、頭は洗わなくて良いよ、と言っていた事があるのです。そのようなニーズに応える店であってい いと思うんです。そこで2002年6月に吉沢町のマーケットの敷地内に1号店をオープンさせたのです」と「カットハウスひかり」の記念すべき躍進の基盤が 生まれました。

 人口密集する東京都内では駅ナカなどでローコストカット店が出店していますが、茨城の地では独立店では客を呼び込むことは困難です。そこで市毛社長は積極的にスーパーなどの敷地内に出店する作戦を実行していきました。

 「床屋に行くついでに買い物したり、買い物のついでに髪をカットしたりできる。両方にとって相乗効果が見込まれます」と、スーパーやショッピングモールへの出店に突き進んでいきました。

  市毛社長の目論見は見事、時代のニーズを捉えました。「間接経費を考えると当初は30店舗の開設を目指した」という店舗ですが、今や県内のほか福島、栃 木、埼玉、千葉などを含めて80店舗を展開。さらにはカット・シャンプー・ブロー・カラーをすべて低価格の単一価格で提供する美容室「Cure」も4店舗 に拡大し、北関東の理・美容業界の風雲児として拡大成長を続けているのです。

 売り上げは当然0円からのスタートでしたが、それをわず か 8年で10億円の売り上げを記録。北関東一円に広がりつつあるカットハウスひかりを単純に1日3000人ほどが利用している計算になります。「店舗を拡大 するという具体的な目標はありませんが、まだ出店の余地はあるはず」と市毛社長。

 その成長のノウハウを聞くと市毛社長は「山は三つあ り ます。『マネジメント』『サービス』『技術』です。それに精通した人材を育成します。でもやっぱり、人間力」と、社長自ら約200人の社員との面談を3年 前から毎年欠かさないそうです。80店舗を回るのに約半年掛かるそうですが、「不平や不満、要望を直接聞くことは会社として大きなメリットになります。小 さいうちに解決することで、会社の成長になる」と市毛社長の子店行脚は続きそうです。

 市毛社長の成功の秘訣は例えば「道端で100円 玉 を見つけたとき、『わー100円だ!』と喜ぶ人。『なんだ100円か』と残念がる人。どちらが幸福な人かは明らか。喜ぶことでポジティブになり脳も活性化 するはず。私は能天気ですが...」と豪快に笑ってみせたことにあるようです。

Pick up Success in IBARAKI

“ニーズを確信し、方向を誤らず進む”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
K’Sデンキさんも成長したように北関東は人がさほど入らなくてもやっていけるシステムを構築すれば成功する余地はある
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
「アンテナは高く、腰は低く」-という気持ちが大切だ。私は20代の頃からこの気持ちを忘れずにやってきた。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
カットハウス自体が多くの人に認知されてきている。特段、これといった広告戦略は行っていない。新規に店舗を開設したときなどに広告を出すくらい。

これから起業する方への一言

“良いと思ったら即実行して、駄目だと思ったら即止める決断が大切だと思う”

「即行即止」という言葉がある。良いと思ったら即実行して、駄目だと思ったら即止める決断が大切だと思う。誰の人生にも必ず一度や二度は、全てを賭ける瞬 間が訪れると言われる。もし、その瞬間が今やってきたと感じたら、勇気を出して決断し、行動してほしい。その決断を誤ることなく、成功をつかみ取って頂き たい。

■いいと思ったらやってみること
■機会を作り、多くの人とコミュニケーションを深める
■何でも楽しいと思って前向きに考える



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