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ファミリー農場わたなべ
代表  渡辺 敏行さん

都市近郊型の農業を
家族で実践する

海外での留学体験を経て、実家の農業を継いで就農。水戸市内飲食店などに新鮮野菜を直接届けるスタイルを確立。価格も30年以上据え置いたままで、根強いファンを抱える。

Owners Company
ファミリー農場わたなべ
TEL.029-272-6613
http://ffwatanabe.web.fc2.com/
ひたちなか市勝倉3718-2

市場に出荷せず、すべての生産物を直売で供給。
下請けの生産者から脱皮、農業法人化を見据える

農業の現場が今、スポットライトを浴びています。後継者不足に悩む一方、地元にしっかりと足場を固め、真剣に農業に取り組み始めている若手農業者が育っています。「ファミリー農場わたなべ」は米作を中心に季節の旬の野菜を栽培し、水戸周辺の顧客だけに直接販売し、従来の農協主導型の農業から、飲食店や一般家庭などを対象に顔の見える「安心・安全な」生産物を届けるユニークな農場です。

 子どものころから、実家の農業を継ごうと考えていたという渡辺さんは、新潟大学農学部、大学院で水稲栽培を研究。さらにヨーロッパの農業大国に囲まれているスイスへ農業経営の在り方を学ぶために留学、2006年に実家の農家を継ぎました。現在、借り受けも含め水田7ヘクタール半、畑1ヘクタールと大規模な農業経営を行っています。

 「野菜は葉ものを中心に、年間通して季節の野菜を栽培しています。以前は東京のレストランなどとも契約していましたが、水戸を中心としたお客さまが中心です」と、水戸周辺の消費者対象の都市近郊型の農業形態へとシフトしました。それはエンドユーザーの求める「新鮮なもの」へのニーズに応えるための発想の転換でした。

 元々、父親の渡辺重行さんもレンゲを育て、米作りを行うなど環境に配慮したユニークな農業に取り組んでいました。若手後継者の敏行さんはさらにその考えを発展させ、幼稚園児から小学生までを対象にした農業体験を実施。米作り体験、ジャガイモ収穫体験など「子どもに農業を体験させたいという親御さんの気持ちに応えたい」とさまざまな形で農地を開放しています。

 さらに「お母さんたちには冬場のみそ作りを体験を実施しています。これは米麹が間に合わないほどの人気で、毎回多くの方が参加されています」と敏行さん。ほかにコンサートが開けるゲストハウス「欅」、自宅和室を開放しての落語会など、農業の現場を多くの人に観て触れて欲しいというイベントを随時開催するなど、新たな試みを実践しています。その名の通り親子3代のファミリー農場ですが、将来は農業法人化も視野に入れています。関税撤廃の時代到来
を前に、消費者が特定の生産者を選んで毎日の野菜を購入するスタイルに先鞭をつけています。



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