President file
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ケイプランニンググループ本社
代表取締役  君島 宏さん

13店舗を展開。
食のオールラウンド

水戸市出身。フランス料理人から社会人生活をスタート。趣味はオートバイで、支店巡りにも活用。長男が米・ニューヨークに在住。今後、海外にも店舗を拡大させる計画もある。「使えるものは何でも使う」と言うように、国の制度を有効活用することを強調する。

Owners Company
ケイプランニンググループ本社
TEL.029-257-0730
http://pure-world.jp
水戸市鯉淵町4015-6

飲食業の基本はたゆまぬ研究心から
新しいアイデアで事業を発展させる

美味しい物を腹いっぱい食べたい。今や茨城の飲食業の雄となった君島社長の物語は、こんな幼少の頃の思い出話から始まります。「5人兄弟の4番目でしたか らね。美味しいものはすぐなくなっちゃう。だからいつも食べ物の事ばかり考えていました」。と社長は飲食に対する原体験を語ります。なかでも大好きだった のがお寿司。「よく父親が宴会などの帰りに、お寿司をお土産に持って来てくれたものです。それが美味しくて美味しくて...。これは寿司職人になるしかないな と。単純でしょ?」と笑います。

 ところが、お寿司を握るには10年かかるらしいと分かり、行動の早い社長は「これはそんなに待てない な」と西洋料理のシェフになる夢へと方向転換。高校卒業後、水戸の老舗店に入社、さらに東京・日比谷の有名店「松本楼」で修行を重ねます。そこでは例にも れず皿洗いからスタートし、サラダ、パン、オードブル、メインなど料理の基礎を徹底的に学びます。松本楼は「お金をもらって学べる調理学校」のようなフラ ンス料理店だったそうです。「ここで学べた事は本当に大きかった」と若き修行時代を振り返ります。 

 松本楼で6年勤め上げコックとし て の腕を磨き、今の奥さまと結婚を果たした君島社長はついに独立します。まず現在の水戸市鯉渕のロードサイドにレストランを開店。それはそれで充実した毎日 でしたが、シェフとして鍛え上げられた魂は「本格派フレンチ」への夢を捨てきれません。鯉渕のお店は奥さまに任せ、ついに水戸市堀町にフランス料理店「ブ ローニュ」を開店させます君島社長32歳の時でした。

 順風満帆にみえた君島社長ですが、ここで初めての挫折が訪れます。「こだわりに こ だわり抜いた本物のフレンチをお出ししていたのですが、あの頃の水戸では全く受け入れてもらえませんでした」。と、社長は当時の苦悩を語ります。しかしこ の失敗こそが、後の躍進つながる原点になるとは、この時誰が想像できたでしょうか。考え抜いた社長はある決断を下します。「当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの人 気店を出していた(株)エヌ・ティー・ビー(旧古潭)の古徳さんが運営するラーメン店に面接に行ったのです」。華やかなフレンチ界からの転職。「その頃の 料理人の間では、ラーメン店を経営することは下に見られることが多かった時代です。」というような環境のなか、プライドを賭けた君島社長の闘いが始まりま す。「実は最初は入社を断れてしまったのですが、古徳さんが水戸市に新店を出す際に、店長代理という形で入社させていただきました」。君島ストーリー第二 章の始まりです。

 ここでは、これまでの料理人としての知識と経験をフルに活用し、主に商品開発を担当。古徳社長と二人三脚のアイデア で 次々とヒット商品を誕生させていきます。ここからはまさに快進撃。あっという間にエヌ・ティー・ビーの屋台骨を支える、なくてはならない存在になっていき ました。古徳社長の信頼は厚くあっという間に常務へと出世。そして、常務を兼務しながら自ら会社を立ち上げるという離れ業も披露します。「旧七会村に大規 模な墓苑が開発される事になり、そのなかのレストランを運営する会社を立ち上げました。それが有限会社ピュアワールドです」と君島社長。この会社もエヌ・ ティー・ビーからフランチャイズを受けた「らーめんげんき屋」や「アーシュターブル」などを次々と開店させ、順調に業務を拡大させていきます。

  さらにもう一歩、君島社長は「食と健康の推進」をコンセプトとした「株式会社ケイプランニング」を設立。すでにお馴染みの「揚げたて屋てん」等を運営する 会社です。ここでの経営も独自のシステムを開発し社業を発展させています。「ケイプランニングでは社員を極力減らして、アルバイトやパートさんでもできる システムを作りました。経費やリスクを減らすことで、店舗拡大が可能になったのです」。もちろんその手腕はコスト削減だけに留まりません。スタッフがより 働きやすく、やりがいを持てる環境を作っていきたいという思いから、店の運営を各店舗に任せ独立を支援する「独立支援」の推進も進めているそうです。現 在、その実績は県も認めるに至り「経営革新計画」の認定事業所として指定されています。皆が幸せになれる経営を目指し、社長の歩みは止まりません。

  そんな社長が手掛けるお店は現在13店。店舗が次々に増えていく中、それでも一番に大切にしているのは、原点でもある「商品開発」だそうです。前述の「天 ぷらの揚げたて」がまさに好例。オーダー後、わずか数分でサクサクの天ぷらを提供する、まさに「揚げたて」メニューは、君島社長自身のアイデアです。「大 手牛丼チェーンなど外食産業はコンビニ化しています。でもコンビニで食べられないものを商品開発して、皆さんに提供していきたい」と今後の展望を語ってく れました。

 ケイプランニングのグループ会社は現在、ラーメン、天ぷらの他にもイタリアン、スイーツ店等、ジャンルを超えて展開し続けています。その根底には君島社長が若き時代に培ったフランス料理の技術と、新商品を生み出し実行する熱い情熱があるようです。

Pick up Success in IBARAKI

“周りのみんなの感謝の気持ちを忘れずに”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
茨城に限らず環境に甘えると失敗する。知り合いや先輩、お世話になった人がいても、当たり前と思わず必ず感謝の気持ちを忘れないこと。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
自分で資金は用意しておかなければならない。今は様々融資制度などもあり有効活用するべきだろう。多くの情報を得て、活用しよう。
質問3 この土地で有効なプロモーション活動は?
異業種交流会などにも積極的に参加している。直接営業活動にはつながらないが、自分と会社を知ってもらえる。フリーペーパーにも広告を展開。

これから起業する方への一言

“縁があって生まれた関係を大切にすること”

縁があって生まれた関係を大切にすること。私はJRに揚げたての天ぷら店を提案したが、採用はされなかった。しかし、JRさんとの折衝でジェラードの店を出すことができた。一見、縁がなかったようでも、何かで繋がっていくことがある。また、縁を育むには周りの人を大切にする気持ちを忘れないこと。周りの人からのアドバイスは素直に聞くことも重要だ。

■挫折しても道は開く
■知り合った人脈は大切にする
■有利な融資制度などを上手く活用する



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