President file
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小学館アカデミー茨城
代表取締役  菊池 美也子さん

多忙な時間をやり繰り、
カウンセラーとしての一面も

水戸市出身。共立女子大英文科卒。小学館系の同社前身の「ホームパル」の英語塾に勤務したのをきっかけに、キャリアアップ。経営者として同社の代表取締役に 就任。常に現場に立っていたいと、10年ぶりに現場復帰。現在も英語の勉強はもちろん、徹底的に勉強する姿勢を忘れない。

Owners Company
小学館アカデミー茨城
TEL.0120-415861
http//:www.415861.com
水戸市見和2-252-4

英語教師から経営者へと道を突き進む
県内で8つのスクールを展開、
幼児から大人までの教育環境を

英語に関連する仕事をしたいと、漠然とではありながらもしっかりとした将来を思い描いていた学生時代。当時の菊池社長は、その夢の実現に向け明確な一歩を 踏み出します。希望通り大学の英文科を卒業すると、学生向けのイングリッシュスクールの教師として社会人デビュー。見事に英語関連の職業を得、1週間で 100人にも上る生徒さん達を指導していました。とはいえ人生の喜びは生活の変化も生み出します。就職をした数年後、今のご主人とめでたくご結婚。転勤が 宿命である警察官の旦那様と共に、県内を巡る生活に入る事になりました。

 そんな生活でも大好きな"英語"から離れたのはほんの一瞬。「当時、警察官は家族一緒の転勤が原則でしたので、7回もの引越しを経験しています。でも英語はどこでも教えることができるんですよね。どんな場所でも、求められたら喜んで教鞭に立っていました」と、菊池社長。

  そして転機は、水戸に異動になった18年前に訪れます。この地で社長は、自らの中に存在していた"熱"に気付かされます。「私は子供達に英語を教えたい、 それを一生の仕事にしたい」。きっかけは水戸市内の中学校での、英語指導の再開でした。一度燃え盛ったその熱は、情熱という動機に変わり社長を行動へと駆 り立てます。自分の子供たちが通う学校のPTA活動の傍ら、即座に小学生対象の英語塾の講師になったのです。

 社長のその強い思いは他の 追随を許すものではありませんでした。みるみるうちに時間講師から教育主任へと昇格。さらに、正社員へとステージが広がっていきます。そして遂には、その 英語塾の親会社である「小学館プロダクション」の人事担当者の目にとまり、なんと茨城での社長業そのものを引き継ぐ事に。その際、塾の名称も「小学館集英 社プロダクション」の「小学館アカデミー」に改称され現在に至ります。

 菊池社長は「私は断れないタイプなのです。やったことのないこと や嫌なことでも『はい』『はい』と受けてきたのですが、社長になる時にはさすがに正直、泣いてしまいました」と、当時の激しいプレッシャーと責任の重さに 怯んでいた自らを語ります。しかしここから発想を変え一念奮起。「誰にでも出来ることじゃない、私の事を評価し信じてくれているからだと解釈して、覚悟を 決めました」。この瞬間から社長は経営者として一心不乱に邁進していく事になります。

 現在、小学館アカデミー茨城は水戸やひたちなか、 那珂・日立など8スクールを運営。英語、算数、国語の科を約20人の教師陣が約400人の生徒を指導。生徒の年齢は幅広く1歳~中学生、シニアの方までが 通われてます。もちろん経営者としてだけでなく、社長は今でも現場を忘れません。今でも自らも教鞭にたっているそうです。最近の教育環境について社長は 「今の塾は、授業についていけないという子供たちの駆け込み寺になっている面があります。そんな子達を全力でサポートしたい」と、今でも燃え盛る情熱を語 ります。

 しかし順風満帆に見えるかに思える菊池社長ですが、7年前に甲状腺がんを患っていました。「この仕事の心労やその他様々な問題 が重なりストレスが溜まっていたのでしょうか。乳がん検診に行って甲状腺がんが分かって、手術をしているのです」と菊池社長は、闘病を振り返ります。「が んの告知を受けた気持ちは本人しか分かりません。想像してあげることしかできないのです」というように、この体験は菊池社長の気持ちのなかに、自分を見つ め直すきっかけを芽生えさせました。その想いはどんどん膨らみ「人の気持ちを少しでも分かってあげたい」と、心理学への関心に向かわせます。

  1年間の受験勉強を経て、公的資格である「産業カウンセラー」の資格を見事に取得。カウンセラーについて菊池社長は「誤解されがちですが、カウンセラーは 考え方を人に教えるのではなく、その人の話を"聞かせていただく"お仕事です。話を聞く事で自らがその人の心の中にいたかのようになれる。共感できる。そ れはその人の救いにも成りえるし、自分への財産にもなるのです」。心理学で学んだ事は、塾の経営にも活かされています。最近では、ナーバスになりがちな保 護者の心理や、子供たちの心のささやきにも耳を傾むける事の大切さを感じているそうです。

 これから日本は本格的な少子化の時代を迎えま す。菊池社長は「塾は個々のオーダーメードのプランを提供するようになるでしょう。その親、その子にふさわしい教育が求められ、行われていく。そしてその ニーズを吸収できる塾の重要性は、ますます増していくのではないでしょうか」と将来性についての展望を説明してくれました。

 英語教師、 経営者、カウンセラー。という3つの顔を持つ菊池社長の今年の楽しみは、なんと今年の11月に米・コネチカット州の高校で行う「書道パフォーマンス」なん だそうです。5×6メートルの紙に大きな筆で、文字を書き込むパフォーマンス。3年ほど前から習い始めた書道の仲間と始めた活動との事ですが、社長は専門 の英語で司会を務めるほか、書道パフォーマンスも披露するそうです!いやはや驚きました。菊池社長には3つ以外に、もう一つの顔が存在していたのです。

Pick up Success in IBARAKI

“自分と未来は変えられるが、人と過去は変えられない”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
インターネットなど情報網が発達し、首都圏などとの格差は無くなった。教育レベルも平均化し、新たに起業するにはそれなりの対応が必要。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
資本金などに手をつけずにやっている。短期・中長期の目標をきちんと持.つことが大切だ。また、自分を客観視する姿勢を忘れないこと。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
チラシやフリーペーパーなどを活用し広告展開している。保護者さんの口コミも大切だ。
が、先生の資質や魅力も大きなポイントになる。

これから起業する方への一言

“今できることは何かを丁寧に探し出すことが大切だ”

なりたい自分に近づけるように、今できることは何かを丁寧に探し出すことが大切だ。時々、自分の棚卸をしてみて、自分の強みを知ることを忘れないように。 書道を経験してみて、お手本のあるがままを見て書き上げる訓練と、時間内に良い物を仕上げる大切さも学んだ。他人とは違う自分なりの姿を再確認してほし い。

■困難も受け入れる柔軟さが自己成長を果たす
■常に自分を客観視していく
■自己を磨くために専門職以外も勉強



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