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株式会社 エディファミリー
代表取締役社長 荻原 武さん
人の一生をトータルサポート。
県内有数の企業を築く。
水戸市出身。茨城高校、旭川大学卒。金融業を経て天元入社。サンシャイン常陽を皮切りに現場を経験。3女2男の父親として、年に一度は海外でのダイビング を楽しむ。自社の草野球チームや地域のシニアサッカーチームの選手としても活躍。ロータリークラブなどのボランティア活動にも積極的に参加する。
- Owners Company
- 株式会社 エディファミリー
- TEL.029-303-5000
- http://www.eddyfamily.co.jp/
- 水戸市東桜川2-15
50周年という企業としての節目を目前にして
自社ばかりでなく日本古来の伝統儀式の継承にも目を配る
1966年(昭和41年)に荻原社長の父親が貸衣装店「ともえや」を水戸に設立しました。父親は東京出身者で、当時、水戸には外から来た人を受け入れない 土壌があったそうですが、地道な努力を重ね、事業を発展。婚礼関係の「天元」、葬祭関係の「富士祭典」、互助会組織の「ともえ互助会」と3つの会社を立ち 上げていき、人生の節目となる大事な儀礼を総合的にサポートする体制を築いてきました。
見た目の印象も若々しく、スポーツマンでもある荻原社長は、家業を継いだ2代目社長ですが、社会人としてのスタートは意外にも、金融サービス業でした。
「高校を卒業後、北海道の大学へ進学して、そのまま北海道で就職し、父親の会社へは就職しませんでした。29歳まではほかの会社で働いていました」と荻原社長。
その後30歳を迎える目前で、父親の会社へと転職することになりました。「いつかは継がなくてはいけないと感じていたのですが、会社の将来や可能性を考え、帰って来たのです」と父親の会社へ再就職。
最初は、日立サンシャイン常陽にて、現場の一スタッフとして働き始めます。
「式 場という土日が嵐のように忙しい職場で、現場のサービス係として働きました。元々、一から学ぶつもりで帰って来たので、苦労したという意識はありませんで した。楽な仕事ではなかったけれど、現場の最先端を一スタッフとして皆と一緒に体験できた、この経験がその後の会社全体の構成を考える上で大いに役に立ち ました」と、よく聞く2代目社長としての帝王学を学ぶのではなく、一人のスタッフとして働くことで、お客さまや現場スタッフの目線で冠婚葬祭業をとらえる ことが出来たそうです。
その後、転機となるのは40歳の時。父親の意向により、ついに自身がグループ全体の社長に就任することになりま した。荻原社長はなぜか10年ごとの巡り合わせで、人生の節目を迎えることになるようです。その1年後、創業以来業務の発展に尽力してきた父親が病気で他 界。真に、会社を背負う形になったのです。
その間にも「天元」の専務、「ともえ互助会」の社長業をこなしてはいましたが、ついにすべての関連会社の社長に就任することになりました。
「就任した際は3つの会社に分かれていたので、総務部門など基幹部分もそれぞれにあり、状況を把握しづらかったので、まずは"ともえ互助会"と"富士祭 典"を一本化しました。そして、天元のブライダル業務も取り込んで統合し、天元は現在のフェリヴェールなどの施設を管理する不動産管理業務のみにしまし た」と、思い切った業務の集約化と合理化を推し進めます。
それは「会社が別だと、例えグループ企業だとしても従業員の意識は同じになれないのです。同じ会社の従業員という意識に立つことで、業務の連携がよりスムーズに運ぶようになりました」と、システムだけでなく、意識的な改革についても語ってくれました。
「これにより、葬祭場で葬儀を行った後に別の施設でお食事、また法事の際などに、スムーズな進行が可能になった」といったお客さまの利便性の向上にも繋がりました。
「冠婚葬祭というものは、誰もが経験することです。ですが、それぞれ地域性が大きく異なる仕事でもあります。例えば、水戸とひたちなかでも違っています。 その中で、我々はプロとしてお客様をどのようにサポートできるかが大切だと考えています。そのため、社員教育には力を注いでおり、葬儀ではスタッフに葬祭 ディレクターの資格を取らせたり、婚礼でもブライダルプロデューサーなどの資格を取らせています。そのような一見地道な積み重ねがお客さまの信頼を得るこ とに繋がると考えています」と、社員のスキルアップが会社の発展に重要であることを教えてくれました。
また、冠婚葬祭は時代の移り変わりにおいても大きく様変わりしています。
荻 原社長によると、「結婚式では昔は当たり前だった仲人さんという存在がほとんどなくなりつつあります。ご近所の人も呼ばなくなってしまいました。葬儀でも ご近所に負担を掛けなくなり、身内だけで営むような傾向になりました。祭壇の花のアレンジメントなどもさまざまなバリエーションが生まれています。でも、 結婚と葬儀という人にとって大きな2つの儀式は日本古来の伝統の儀式です。それを簡素化したり、ないがしろにするのではなく、伝統と文化を踏まえた儀式を 大切に執り行いたい。その中で『自分らしく』『故人らしく』の儀式を提供したい」と、荻原社長は時代の流行に流されるのではなく、日本的な冠婚葬祭の尊厳 の大切さを呼び掛けています。
社内においても、荻原社長は月に一度は全体朝礼を開き、社長自ら現場を見て回った感想や社会情勢のことを訓辞します。特に社会情勢には気を配り、この業界としてどう対応すべきかを社員一人ひとりに訴えます。
もうすぐまた新たな10年の節目がやってきます。そしてまた10年が経とうとしています。それは自身の50歳という年齢と会社の創業50周年という年が近づいて来ることです。
50周年という大きな節目を迎え、自社ばかりではなく業界全体をどうすべきか、荻原社長のその視線の先は、さらに10年、20年先を見据えたビジョンを捉えているようです。
これから起業する方への一言
“目標にどう近づくか考えるとゴールは近くなるはずだ”
マラソンに例えるとゴールがあるから自分の目標タイムを設定することが出来る。ゴールまでの途中にはさまざまなアクシデントなどが待ち構えているだろうが、目標にどう近づくか考えるとゴールは近くなるはずだ。明確な目標を持つことで、途中で迷うことはなくなる。
■第一線からの目線を養う
■日本古来の伝統と文化を尊ぶ
■地道に一歩一歩、信頼関係を築く