President file
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株式会社あ印
代表取締役社長  鯉沼 勝久さん

冷静な目で時代を読み、
食を楽しむ心を広める

「スペインではワインと共にたこを味わうフェスティバルがある。ひたちなか市と組み、花火大会などと合わせて開催できたら」と鯉沼勝久さん。ジャンケンをするたこロボットを試作、たこのペット化実現に向けて飼育キットを開発するなど、ユーモラスな取り組みも。さまざまなシリーズがあり、幅広いあ印商品。今後の展開が楽しみ。

Owners Company
株式会社あ印
TEL.029-263-2111
FAX.029-263-2115
http://ajirushi.com/
ひたちなか市沢メキ1110-9

たこ加工業界随一の伝統・品質を土台に、
水産加工から食品メーカーへ躍進の時


たこ加工品の生産量日本一を誇るひたちなか市。
中でも創業明治20年の老舗「あ印」は、業界トップを走り続けています。
たこを中心に、いか、えびなどの調理、味付けをし、多くのオリジナル商品を生んできました。

主に北西アフリカ(モロッコ、モーリタニア、セネガル)産を冷凍輸入して加工。
本社のほか、東京にも営業所を置き、国産も合わせて、年間約3000トンを出荷しています。

 大学で経営を学び、卒業後、家業に入った鯉沼さんは、現場の力仕事に一から励み、43歳で3代目に。代表を継いで10年。

平成19年には社名を「あ印水産」から「あ印」に変更、水産加工から食品メーカーへの飛躍を誓ったのです。

 先々代が「あ印丸」を母船とし、海産物の販売を手掛けたのが始まり。
先代が水産加工に転じ、会社組織を形作ってきました。
昭和32年、鯉沼さん自身の誕生の日が会社設立日とあって「共に育ってきたと言えます」。

 たこは骨も臭みも無く、生活習慣病の改善にも効果があるタウリンや、亜鉛を多く含む優秀な食材。
もっと身近に感じてもらおうと、ひたちなか商工会議所が薦める産業観光企画に賛同し、生たこの釜ゆで体験(試食あり、一尾ずつ持ち帰り)を実施。

若い人の食に対する愛着の無さを人一倍嘆き、
「子どもたちに素材本来の良さを知ってもらいたい」と、食育にも関心を寄せています。

 商品の一番人気はプリプリとした食感の「蒸したこ」で、ロングセラーの「中華いか山菜」は農林水産大臣賞を受賞。「高品質で安心安全、おいしく、健康に良い」をモットーに、衛生管理を徹底しています。

 惣菜に力を入れる近年、メニューは社内の開発部が考案しますが、「最も怖いのは世間の感覚とずれること。
高慢な価値の押し付けは衰退につながる」と気を引き締めています。
現在は加工度を上げ、家庭での調理の手間を省いた商品の提供に努めているそうです。
今後は「バジルやオリーブオイルと合わせた、洋風の味付けも展開したい」。

 伝統を守り、世相を読み、感謝の心を忘れずに。
たこを含めた食の可能性を追求しながら、自社のかじを取っていきます。



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