President file
39

株式会社 フレックスホールディングス
  さん

旅行添乗員から転身!
トラブルを厭わず前進!

笠間市出身。添乗員時代は世界26カ国を巡り、トラブルやクレームの処理に追われる。転職後は先代社長の片腕として、実務に専念。社業発展の中興の祖となるも年齢は現在、38歳。仕事の付き合い以外にはこれといった趣味もないと言うが、社会貢献活動には積極的で、水戸市内のイベントなども支援する。各種団体の会員にも名を連ね、起業希望者の相談にも気軽に応じている。

Owners Company
株式会社 フレックスホールディングス
TEL.029-244-3939
http://www.ejob-flex.com/
水戸市笠原町1750-9

人材派遣業の県内有数の企業へ成長させ
新たな事業展開も図り、障害者、若者へも手を差し伸べる

企業の雇用形態の変化に伴い、仕事の戦力として需要が高まっているのが派遣社員の力です。県内有数の人材派遣業社として成長の陰には菅谷社長の存在が欠かせませんでした。

 「私が入社したときの会社は赤字続きで、毎日のように銀行員が借金の取り立てに来ているような状態でした。当時、社員は6人ほど。ところが入社間もなく先輩社員5人がそろって辞めてしまったのです。先輩からの引き継ぎもわずか2週間ほどで、とにかく苦労しました」と、新人時代を振り返ります。

 菅谷社長の社会人としてのスタートは大手旅行会社の添乗員というものでした。千葉の旅行関係の専門学校を経て、ツアー客を連れて海外旅行の毎日を送ります。約4年間務めた仕事の中身は「トラブルとクレームの処理」と言います。

 「海外旅行ではトラブル処理は添乗員の仕事になります。例えばハワイに行くときに台風や嵐になると飛行機が飛べず、一度中国へ行ってルートを変更するということになります。そのときの経費はお客さまの負担になってしまう。旅行の約款には書かれていてもそんなものはお客さまは読んでいません。ですからフォローするためにエコノミーからビジネスの席に変更したり、ホテルも最高級ランクに変えるとか、常にトラブルの対応に明け暮れました」と菅谷社長。

 しかし、海外を回るうちに「これからは日本でも人材派遣の仕事が増えるはず」という確信を得たそうです。

 「日本の労働者はともかく世界一保護されているのです。事業を行う人はすべてを投げ売ってやっていますが、セーフティーネットが確立している日本では労働者を守るのです。生活保護も充実していて、企業としては社会保険など労働者に掛ける金額は相当なものです。そのため、正社員が減る時代が必ず来るはず」との思いを強めます。

 そして、フレックスに入社したものの、前述のような社内状態でした。「いきなり営業のマネジャーに起用され、営業に取り組みました。また、当時は派遣した方が急遽休んでしまうというようなこともあり、その代わりに現場の仕事に入るなど、ありとあらゆる仕事を経験しました」と苦労は続きます。

 「でも添乗員時代に苦労した経験が今の仕事に生かされている」と、苦労した経験を前向きにとらえ、自らのスキルアップのために、南は神栖市から北は北茨城市まで県内くまなく走り回ったそうです。

 菅谷社長の活躍があって、会社は3年ほどで順調に業績を伸ばしていきます。こうして社員も増えていき、会社の実務を一手に切り盛りし、県内有数の人材派遣会社を作り上げてきました。

 そして現在、フレックスではさらなる事業の充実に加え、単なる人材派遣の会社にとどまらずさまざまな事業展開を図っています。それは、菅谷社長の「人の幸せのお手伝いをする」という強い思いがあったからと言います。

 例えば今現在、人材派遣の仕事の中でも特に力を入れている事業に、シングルマザーへの仕事の斡旋があるそうです。「現在、日本の離婚率は増加傾向です。7秒に1組が離婚すると言われており、こうした働く時間が限られた女性たちの仕事支援をしていきたい」と力を注いでいるそうです。

 さらにもう一つがシニアの再就職支援です。「終身雇用を誇った大企業でもリストラを断行せざるを得ない時代です。スキルの高い方が肩を叩かれています。そうした50歳を過ぎた方の再就職先を支援しています」と言うように二つの柱を立て、事業を展開しているそうです。

 さらに、それまでつながりのなかった県内約20社の人材派遣会社の営業力と求職者を大同団結させた「ISC就職支援センター」を立ち上げました。

 県内事業者との提携により、多くの職種と優秀な求職者とをワンストップで結びつけることが可能になり、登録者数7万人を誇る県内最大級の就職支援センターが登場したのです。

 また、経営者支援のための「フレックス総研」も創立。事業での悩みや相談ごとなどを受け付ける窓口として、総研が果たす役割は重要性を増しています。

 菅谷社長は「いきなり弁護士に相談するのでは費用が馬鹿になりません。誰に相談したら良いのかと悩んでいる人が気軽に相談でき、そこから先は相談内容に合った提携する専門家を紹介します。経営者ばかりでなく、派遣スタッフの相談も受け付けています」と利用を呼び掛けます。

 労働者の精神障害にも目を向け「グリーンカンパニー」という社団法人も立ち上げました。「とにかく10人に2人はうつ病という現代。そうした方々への就職支援もしなければなりません。民間の養護施設を含め、就労支援は欠かせない」と、労働者福祉の受け皿も整備することに力を入れています。

 菅谷社長のバイタリティーの奥深さは他にもまだあります。養護施設の子どもたちへの絵本やランドセルプレゼント、若者の結婚を支援する「MITOコン」のスポンサー支援など数限りなく広がっています。

 その経営の底には「人の幸せ」を実現したいという強い信念が貫かれていました。

Pick up Success in IBARAKI

“世界から日本を客観的に見ることが大切”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
県内の人材派遣業者は減少傾向にある。求人情報誌なども少なくなっている。しかし、労働者と企業とのマッチングの市場はまだまだある。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
まずは世界を見てくることを勧める。日本がどうなっているか、何があれば良いのか客観的に見てくること。すぐに実行できる人は成功するのでは。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
社屋をソーラーパネルで覆うことを計画中。通りがかった人が何だろうと思う仕掛けも大切。また、経営者仲間と付き合うことで営業の幅を広げている。

これから起業する方への一言

“とにかくまずはやってみることが大切だ”

起業したいという若者からの相談を受けるが、とにかくまずはやってみることが大切だ。そして時間を惜しまないこと。さらに、すぐに結果を求めないことの3つが必要だろう。今の若者は慎重すぎる傾向がみられ、石橋を叩いてから渡るタイプが多い。経営者になるなら新しいチャレンジに果敢でいてほしい。やるとやらないでは天と地の差が出てしまう。

■若いときの苦労がホスピタリティーを高める
■本業から派生した仕事を的確に展開する
■地域に恩返しするという意識を忘れない



写真を右に1つ進む

写真を左に1つもどる