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「憧れ」花のアトリエ
代表  池田 誠子さん

〝憧れブランド〟を定着。
フラワー教室も開催する

ドイツフローリストマイスター資格を有するフラワーショップオーナーとして、販路を拡大。個人客ばかりではなく、法人関係の取引にも比重を置く。ドイツ流フラワーデザインを提案。趣味は日頃の疲れを癒してくれる温泉やマッサージ。建築関係のご主人は広島出身で、お互い出身地ではない水戸の地で地域発展に貢献 している。

Owners Company
「憧れ」花のアトリエ
TEL.029-257-1187
http://www.akogare-hana.com
水戸市見和2-241-1

ドイツ流のフラワーデザインを水戸へ持ち帰る
国内でも5人ほどのドイツフローリストマイスターとして活躍

群馬県桐生市出身の池田さんは常磐大学に進学し、茨城・水戸へやってきました。学生時代からフラワーショップでバイト生活を送り、卒業と同時にドイツ国立 花き芸術専門学校「ヴァイエンシュテファン」へと3年間留学し、「ドイツフローリストマイスター」の資格を取得しました。


 ドイツはあらゆる職種でマイスター制度が確立した国です。そこで花に関する植物学や色彩学、造形などのほかに企業経営やマーケティング、簿記など独立するためのあらゆる分野の知識を習得しました。

  「ドイツではお花屋さんにマイスターがいて、その下にフローリストという方がいます。さらにその下にお弟子さんがいて、お弟子さんがフローリストになるた めには一般的に3年の修業と試験の合格が必要。さらにフローリストがマイスターになるには2年以上の経験とマイスター学校での試験合格が必要となります」 とドイツでの徹底した花の専門家教育について教えてくれました。

 すべて外国語で学ぶという大きな壁のある中で、ドイツにおいて花屋で最高レベルの資格を見事修得し、さらに1年間、ドイツの高級花屋店にて修行にはげみました。

 その後帰国し、池田さんは地元群馬ではなく、水戸大工町で念願の花屋を開業しました。「高校まで過ごした桐生には大きなお花屋さんがあったこともあり、学生時代に慣れ親しんだ水戸の地で開業したのです」と言うように、水戸での起業を実現しました。

  「大工町裏の店舗で、家賃を安くしてもらえないか、と不動産屋さんに言うと『大家さんに聞いてみて』と言われ、話してみると『いくらなら良い?』と聞かれ たので、言い値で借りられました。家賃を自分で決めてしまいました」と、創業当時のエピソードを語ってくれました。池田さんが持ち備えた周囲の人を自然と 納得させる魅力を示した例と言えます。

 開業当時は「活けこみ」という店舗などに飾る花の出張販売が主でした。しかし、営業経験のない池田さんにとって飛び込みの営業は至難の業です。そのとき知り合いの方から「アンケートを口実にして営業先へ訪問する」というアイデアをもらいます。

  池田さんは「最初は自分のファイルを作って、すぐに南町のお店7店舗を訪ねアンケートに答えてもらいました。そのうちレストランさんから仕事をいただきま した。その後さらに100店舗以上を訪問し、アンケートに答えて頂きました。仕事をもらえるようになったのはもちろん、実際どんなお花が飾られているか見 ることが出来、よい機会となりました」と創業当時の営業方法を教えてくれました。

 やがてお客さまの紹介などで法人関係にも仕事の幅を広げ、結婚式場などへも営業を展開。水戸市見和の現在地に総合施設「アトラス」が開業するに伴い、移転して現在の地歩を確立していきました。

  水戸のフラワ-ショップの世界では多くの店が林立し、それぞれ店の個性を競い合っています。池田さんは「花は一つひとつ完成した存在です。かわいらしい ガーベラ、高貴な雰囲気をもつ胡蝶蘭など花の効果には違いがあります。それぞれ、花の種類に合った使い方を大切にしています。また、花だけを選ぶのではな く、花をつなぐ様々なグリーン(葉の部分)を合わせてすべてが調和するように心がけています」と、フラワーデザインのこだわりを教えてくれました。

  贈答品としてお花のプレゼントは定番です。車のディーラーさんが新車納車の際にお客様へのプレゼントとして池田さんの花束を依頼することがあるそうです。 その際にお客様から「これは憧れさんのお花ですね」と気付かれることもあるほど、多くの方々にそのオリジナリティ溢れるアレンジメントが認知されていま す。

 さらに予約販売を優先させ、常に花を新鮮な状態で届けられるようにも工夫を凝らし、「憧れの花は、花持ちがよい」という評判も得るようになりました。

 また、憧れでは、フラワー教室も開催して、多くの人に花のアレンジメントを楽しんでもらっています。毎年、ドイツのマイスターを招いて、講習を終えた人には独自の修了証も発行しています。

 ドイツ留学の経験もある池田さんは茨城県日独文化協会の事務局長という肩書きも持っています。日本とドイツとの架け橋としてさまざまな芸術交流イベントも開催。本業以外にも国際交流の社会貢献活動にも勢力を注いでいます。

  お花屋さんの仕事は重い水おけを扱うなど肉体労働です。しかも女性の多い職場で、結婚、妊娠を経て仕事を離れる人も多いそうです。そのため、池田さんは 「プリザーブドフラワーなら座りながらできる仕事なので、そうした仕事を増やし妊娠しても安心して働ける環境も整えて行きたい」とプリザーブドフラワーな どのネットショップを充実させる新たな事業も模索しながら、社員の方々の働く環境を整えることに努力を惜しみません。

 池田さんは「昔から『この花は○○なんだよ』と、言える人になりたかった」と花の仕事についた動機を語ります。その想いを抱えてドイツへ渡り、多くの知人のいる住み慣れた水戸の地に帰着。その経験と豊富な知識が今、思い出の多い水戸で見事に開花しています。

Pick up Success in IBARAKI

“売り上げ1億円を達成し、法人化を目指す”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
よそ者の私でも、多くの人が支援してくれた。人と人のつながりを大切にしてくれる土地柄で、そのために仕事を発展させることができた。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
花屋はキーパー(冷蔵庫)、水おけ、車があれば起業できる。仕入れにしても市場ばかりでなくネットでも購入できるので、後は差別化を図ること。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
花屋は地域密着型なので、地元のタウン誌などを有効に活用しPRするのも手段の一つ。

これから起業する方への一言

“喜んで下さるお客様の笑顔は何にも代え難い”

花屋という業種には大企業があまりなく、サラリーマン的な安定した仕事環境は難しいかもしれません。しかし、人の気持ちが行き交うところにいつもお花があり、哀しい時、嬉しい時、祝ってくれる時、お別れの時など色々な思いでその花を見つめる人がいます。喜んで下さるお客様の笑顔は何にも代え難く、本当に心から自信を持って勧められる仕事です。

■好きだと思えるものを仕事に
■飛び込み営業はアンケート方式も有効
■重労働から解放される仕事も開発する



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