President file
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ジュエリー ネモト
代表取締役  根本 みついさん

自分のマスターピースを見付け、
人の生きる喜びを提供する

宝飾に関しては「何でもできる会社」として運営。「信用と信頼」を大切にして、積極的に情報を開示。特に、真珠に関しては県内最大規模を誇る。「一生に何度も買うものではないので、より良いものを提供したい」と、気軽に相談を呼び掛ける。

Owners Company
ジュエリー ネモト
TEL.029-305-1611
http://www.j-nemoto.co.jp/
水戸市笠原町300-1

創業42年の老舗宝飾店を継ぐ2代目敏腕社長
宝飾品の役割を自覚し、その果たす役割を多くの人へと伝える

父親の根本兵仁さんが鞄ひとつで始まった「ジュエリーネモト」は今年で創業42年目を迎えた県内では老舗の宝飾店です。当時、水戸の通りに宝飾店がなかっ たと、繁華街真ん中の南町3丁目に店舗を構えてスタート。現在は水戸市笠原、鹿島市、日立市内の3店舗を持つ、県内有数の宝飾店となりました。

  「この業態は宝石、時計、眼鏡というのが一緒になった商売で、うちも最初はその3種類を扱っていましたが、今は宝飾品だけに特化しています。私は子どもの 頃から宝飾品に触れていましたので、自然と好きになってしまったのですね」と、根本社長は親から受け継いだDNAをさりげなく紹介してくれました。

  根本社長は「宝飾品というのは古代からある物です。狩猟民族だったころ、強い動物を仕留めたときに、その動物の爪や牙などを自分の弱い部分に身に付けたの です。その歴史がヨーロッパなどに残り、現在の宝飾品文化へとつながってきました」とその歴史を解き明かしてくれます。

 宝飾品は敵に勝った喜びの証と敵に負けないというお守りでもありパワーストーンであったようです。

 根本社長自身は高校、専門学校卒業後、勉強好きな父親の勧めもあり宝飾品のメッカでもある山梨県の工場へと修行に行きました。そこで、宝石の鑑定、鑑別、真珠の見分け方などを徹底して学びました。「自分に投資してくれた父親には感謝しています」と、根本社長。

 宝石の鑑定は本物と偽物を見極める仕事で、それを等級別などに判別するのは鑑別の仕事です。「日本には本物しかないのですが、日本人の特性でしょうか、宝石を買う場合には鑑定書などをほしがる傾向にあります」と日本人の宝飾事情を語ります。

 さらに根本社長は「人間には所有欲というものがあります。だからコレクターの人も多いのですが、タンスの肥やしにしないで、日常的に身に付けてほしい」と、常に身に付ける事を勧めます。

 「ジュエリーは身に付けることで、それを子どもたちが見ています。親の指に付けていた指輪の姿など、その思いを受け継いで、使い続けてほしい。より使い込んであげるのが宝石の本来の姿なんです」と根本社長は、宝石類を身に付ける意味を説きます。

  昨年の東日本大震災後、宝飾品に対する考えは大きく変わったとも根本社長は話します。「金やプラチナは換金出来る時代になりました。買い取り店も増えてお り、金がお金になるという意識が芽生えました。しかも震災などが起これば、宝飾品は持って逃げることのできるアイテムです。宝飾品に対する価値観が変わっ た出来事でもあったのですね」と、震災後の宝飾界の変化を明らかにします。

 「でも一番、気付いたことは、何日も電気が来なくて、電灯 が ついたときに喜びを感じたことだと思います。光を見ると安心する。それは人は光り輝くものにあこがれていて、宝飾品に共通するものだったのです」と、人々 を魅了し続ける宝石の輝きは、人類に共通の無意識の衝動なのだと、根本社長はその輝きに注目します。

 宝飾の世界は5年ほどのサイクル で 流行が変わり、時代とともに変化を遂げています。現在の流行について伺うと「スイートテンなどの流行は今でもありますが、女性には黒蝶真珠が、男性にはブ ラックダイヤが人気となっています。男性が身に付けるアイテムが増えていて、それがコミュニケーションを膨らませることにもつながりますね」と、某男性タ レントがブラックダイヤを身に付けていたことで、男性社会にブラックダイヤブームが広がった事を教えてくれました。

 インドやバンコクなど海外にまでも買い付けに走るという根本社長は「日本の宝飾品の文化が美術品という分野から工業製品へと変わってしまった」とジュエリー製品そのものの存在価値にも警鐘を鳴らします。

  「第2次世界大戦で負けたことも影響しているのでしょうが、完全にアメリカナイズされてしまいましたが、ジュエリーを作っている職人はそれに思いを込めて 作っています。意味のないジュエリーはないので、作り手の意図を感じて買って頂いて、それを次の人へつないでほしい」と言います。

 その一例として取材の最後には胸元から一つのペンダントを見せてくれました。それは金製品で1900年頃のアンティークジュエリーのネックレスでした。

 今では熟練工でも難しい加工を施した、赤いルビーを中心に太陽の昇る図柄を金で表現した見事な造作が施されたものでした。「実は、インスピレーションで買ってしまいました。これが自分のマスターピースだったんです」。

  「自分のマスターピースを持ってほしい」と言います。それは、「朝、目覚めたときにこのペンダントを昨日身に付けていたことで、起きられたことに感謝し て、夜外すときに今日一日生きられて良かったと感謝する。これがマスターピースの役割であって、ジュエリーを大切に持つ意味も生まれてくるのです」と宝飾 品が人に与える精神的な役割も話してくれました。

 根本社長は「光輝くところに人は集まる」と言います。そして「高価な宝飾品ほど若い時に購入して、一生大事に身に付けて使ってほしい」と、いち早く自分なりのマスターピースの購入を勧めます。

 それは「宝石の輝きに負けない、自分を作って下さい」という、根本社長のメッセージでもありました。

Pick up Success in IBARAKI

“地域に合った販売形式を模索して、事業を展開”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
今、県内3店舗を展開しているが、鹿嶋、水戸、日立とそれぞれ地域性があって、それに合った事業展開が必要だと感じる。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
自分の場合は2代目だが、注文に応じて何でも出来る体制を整えている。資金があれば何でも出来るが、大切なのは自分の道を突き進むこと。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
新聞折り込みチラシや雑誌への広告出稿なども行っている。さらにネットも活用し、フェイスブックやブログなども活用している。

これから起業する方への一言

“どこにどうこだわれるかが大切だ”

自分でやろうと思ったら、どこにどうこだわれるかが大切だ。物販の視点で考えると「売り上げは人投票」だ。先日出席したパーティーに来ていた有名タレントさ んの姿を見て、他のタレントとは違い抜群のサービス精神とプロ意識を感じた。人生の節目でどこでスイッチを入れるかも考えよう。

■光輝くところに人は集まる
■すべての仕事を自分の社内で完結できる体制を作る
■SNSなど最新のツールなども柔軟に取り入れる



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