President file
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有限会社 マキプランニング
代表取締役  石川 眞樹さん

27歳にして独立。
女性経営者のトップランナー

女性だけの従業員を採用。しかも条件は既婚者、持ち家、庭のある人とお客さまと同じ立場の社員をそろえる。「女性は母であり、妻であり、嫁である。外で働く 時間が限られている。でも会社に来ることで外の世界と関われる。数時間でもよいので勤務してもらい、仕事と家庭をきちんと線引きして働く環境を整えてあげ たい」と、事業所内託児施設の開設も見据えている。

Owners Company
有限会社 マキプランニング
TEL.029-271-1319
http://www.makipla.com/
ひたちなか市田彦122-1

「家は見る人に住人のイメージを膨らませる」
プリント基板の設計とエクステリアの提案の二事業を展開

 石川社長は平成13年の27歳という若さで独立。電子部品のプリント基板の設計を行う会社を設立しました。「昔から独立するのが夢でした。とにかく仕事は 何でも良かったのですが、独立して社長になって、もし3年頑張って駄目だったら、コンビニでもファミレスの店員でも何でも出来る」と自分の夢を実現させま した。

 会社設立から4カ月までは順調なスタートだったそうです。ところがその年の9月11日、ニューヨークでテロが発生。世界情勢が 大 きく変わってしまいます。それまで国内生産されていたプリント基板の生産拠点が中国へと移行し、石川社長の仕事も大きな壁にぶち当たることになりました。

 テロに引き続きリーマンショックなど、その後も不景気の時代が続いた上、さらに定年退職した日本の技術者たちが中国で技術指導をすることで、プリント基盤が爆安で生産され始めました。すると、仕事も常に上昇ともいかず、悩むことが多くなり始めました。

  そのときに知人に「社長は自身がわくわくするような仕事をしなくては駄目なんだ」と言われ、それまで専門外だったプリント基板設計の仕事から独立前にハウ スメーカーや造園会社などで経験していたエクステリアの仕事に目を向けます。元々専門だった土木設計を一からやってみようと決意したのです。

  「もっと身近で気軽に相談できるお庭の会社にしよう」という思いから、外構と造園の部分を併せて提案する「エクステリア・ガーデン」という新たな分野を立 ち上げました。県内でも10人に満たないという園芸福祉士の資格も取得し、本格的に取り組みました。こうして、会社の事業をプリント基板とエクステリアと いう二つの柱に据えることにしたのです。

 「祖父が大工だったので、元々、橋や公園などの土木工事に興味があったのです。庭の草花の手入れも何となく母親の姿を見て興味を持っていたのかもしれません」と、自分の好きな仕事を発見し、行動に移していきました。
 
 「最初は知人の庭をやらせてもらい、知り合いの紹介で仕事をこなし実績を積み上げていきました」と、派手な広告や宣伝を行わず、地道に仕事をこなしたそうです。

  「庭は住人という特定の人に愛され、彼らを励ましたり癒したりするもの。高い塀で家を囲ってしまうと、通りすがりの人が道を尋ねようという気にもなりませ ん。やはり緑があって優しい庭があると、その家に住む人の印象も変わります。家と庭は見る人のイメージを変えることに大きな影響があるのです」と石川社長 はエクステリアの重要性を強調します。

 「現在、庭は手入れが面倒くさいという人もいます。虫や雑草、手入れが大変などの理由ですが、 お 子さまがいる家庭では外に遊びに行かなくても、庭で一緒に草を抜いたりすることで、庭だけで遊びが完結するのです。将来庭で一緒に遊んだ記憶はきっとお子 さんに残るはずです」と、子育てへの有効性も話します。

 石川社長の持つ園芸福祉士という資格も興味深い仕事です。森林浴によるフィトンチッド効果など植物によって、人々の健康面にもたらす効果を引き出す仕事です。

 「植物は人々の機能改善にも役立ち、メンタルケアにも活用できます。本当は家を新築してから春夏秋冬の1年を過ごしてみて、発注していただくと、困ったことなど具体的に解決できる提案が出来ます」と、石川社長は庭作りのポイントについても教えてくれます。

 「例えば西日が強くて夏場は暑いが、冬は西日の暖がほしいというと常緑樹ではなくて落葉樹を勧めるとか、木1本についても細かなアドバイスをすることができます」と庭に植える樹木ひとつで生活が快適になる方法を教えてくれます。

  「庭についての考え方は、緑は一切必要ないとおっしゃる方と畑を作りたいなど緑をたくさん入れたい方と両極端です。さらに、情報があふれているからご自分 でホームセンターなどで素材を購入して安く作れるのではとお考えの方もいます。本当に好きな人なら結構ですが、結局は金額的に割高になります」と、石川社 長。その結果、現在は住宅を建ててから数年たった庭の2次加工の注文が増えている傾向がみられるそうです。

 やはり、素人考えではなく、きちんと専門家に相談することが大切のようです。

 仕事を受注すると石川社長は家の建築物を入れた詳細なパース図を作り上げます。「お客さまのイメージを具現化することによって、施工後のイメージとずれないように」と、さまざまなパースを見せてくれました。

  それは太陽の向きや樹木の高さ、周辺の様子まで丹念に描かれた3D映像のようなパースです。曲線で雲や太陽をイメージしたものなど、女性ならではの細やか なパースを見ると、とかく家は内装の使い勝ってばかり気にしてしまいがちな私たちに、家は多くの人に見られるものだということを気付かせてくれます。

 石川社長は「でも施工して終わりではないのです。そこからがスタートなのです。庭の樹木の成長とともに住む人も歩んでほしい」と語り、みんなの夢が実を結ぶ幸せの種を蒔き続ける企業を目指しています。

Pick up Success in IBARAKI

“「お天道さまは必ず見ている」という心を忘れない”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
茨城は家の敷地面積が広い家が多く、持て余している場合もある。県南と県北では条件は異なるが、震災後庭を見直す家庭も増えており、この業界の堅調。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
若いうちの独立は、様々な人からアドバイスをもらえてよかったと思う。しかし「社長」と呼ばれてうれしがっては成長が止まる。学ぶ、働く、手を伸ばすことが大切。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
数多くの勉強会や団体の活動に参加している。その会費以上のものを得たいと常々考えて勉強させてもらっている。そこで自分と会社をアピールすることにも役立っている。

これから起業する方への一言

“自分で限界を作ることなく努力を続ける”

私は社長になることがゴールと思ってしまった。しかし3~4年目にそこで成長が止まることを知った。多くの人から言われたくないことを言われたりしたが、若かったから乗り越えられた。自分で限界を作ることなく努力を続ければ、成功するその時というは1分1秒違わず必ず来ると思うので、諦めずに働き続けること が必要。

■いろんな会で自分と会社をアピール
■自分のゴールを設定しない
■努力の結果は必ず実を結ぶ



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