President file
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株式会社ノザワワールド
代表取締役  野澤 敏伸さん

「社員は宝」と言い切る。
元プロゴルファーの成功への道程

ひたちなか市出身。22歳でツアープロゴルファーとして国内ツアーに参戦。実家のゴルフ練習場を継ぎ、不動産賃貸事業にも着手。その後飲食店などを経営。 その時の経験から福祉事業も手掛ける。現在は経営コンサルタントとして、経営不振に陥ったホテルなどの経営再建にも尽力。近い将来はグループ会社のホール ディング会社設立を目指す。

Owners Company
株式会社ノザワワールド
TEL.029-271-1116
http://www.nozawaworld.co.jp
ひたちなか市馬渡西谷津3846

7つの会社と2つの社会福祉法人を運営
日々成長を続けて、その経営手腕は全国に轟く

現在7つの会社と2つの社会福祉法人を率いる野澤社長の経歴は弱冠27歳での独立、ビジネスへの道を着実に進み続け現在の地位を確立していった成功事例の理想を実践しています。

 「私は実は22歳でプロのゴルファーとしてスタートしたのです。前々から会社を作りたいと思っていたのですが、プロゴルファーになったのを契機にゴルフ関係の会社を立ち上げたいと思っていたのです」と言います。

  日大ゴルフ部出身でプロテストに合格。トーナメントプロとしてツアーに参戦したそうです。しかし、プロ入り5年目の27歳の時に父親が病に倒れ、やむなく クラブを置いて、実家のひたちなか市のゴルフ練習場を継ぐことになります。その2年後に父親が亡くなり、父親の残した不動産などの整理に直面します。

  「土地が区画整理に掛かったりして、商業店舗を作り賃貸するなど堅い仕事に取り組みました」と不動産業に着手。しかし、一等地は借り手がつくものの、道路 に面していない奥まった土地には借り手がつかないという状況が発生します。その土地の有効利用を考えていたところ、自らがオーナーとなって居酒屋である 「蛸の市」を開店させます。

 「自分が食べていければ良いという程度で、素人目線で始めました」という平成7年にオープンさせた「鮹の 市」は破格の生ビール280円という価格で人気を博します。300席の広い店内は、ひたちなか市内の学生たちには合コンのメッカとなり、家族連れやサラ リーマンの支持を受ける飲食店と成長しました。

 「飲食は投資を安くして、コストを掛けなければよそと対抗できるはず」と野澤社長は、徹底したコスト削減に取り組み、わずか10カ月で投資額の回収に成功し、その後、どんどん利益を生み出していきました。

  「その時にコスト意識を学びました。設備投資が掛かるのであれば、それをできるだけ抑える」という発想から、今度は古物商の免許を取得し、リサイクル ショップを手掛けることになります。「リサイクルショップを作ることで、各店舗などの什器を安く手に入れることができ、グループの会社内で買い、ほかのお 客さまにもお売りすることができます」と、物に対する「もったいない」という意識改革が社内で育っていくことになりました。

 さらに 「障 害者の子供たちを『蛸の市』に年に1回招待して食事を楽しんでもらっていたのですが、ものすごく喜ばれました。バブルがはじけてからは、障害者が招待され ることも少なくなったと聞きました。私は彼らのうれしそうな姿を忘れられずに、社会福祉法人の設立を決意しました」と野澤社長。

 社会 福 祉法人設立にはさまざまな手続きが必要ですが、わずか4カ月で許可を得て、那珂市に「さくらの木」、城里町に「かしの木」という二つの社会福祉法人を立ち 上げました。「障害者の自立支援法が施行されてからは子どもたちは大変になりましたが、グループ会社内で仕事をしてもらうことで、少しでも自立を促せれ ば」と、両施設の理事長となった今でも、私財を投げ打って障害者の支援を続けているのです。

 さて、プロゴルファーという肩書きを持つ野澤社長のゴルフ事業はさまざまな事業展開の中で培ってきたノウハウと経験、勉強を怠らなかった知識とを存分に発揮させていきました。

  徹底したコスト削減には「レンタルとリースの違いにも着目しました。社員にはコスト意識を植え付け、一方、ゴルフなど非日常を求めてくるお客さまには一日 を楽しんでもらわなければなりません。そこの線引きは難しいのですが、その辺の意識のないゴルフ場経営者が多いのです」。

 野澤社長は バ ブル、リーマンショックなどで経営のたち行かなくなったゴルフ場の買収、債権整理などに乗り出します。その結果、現在、城里ゴルフ倶楽部、カワカミバレー カントリークラブ(長野県)、ロイヤルフォレストゴルフ倶楽部と3つのゴルフ場を手に入れ、さらに東海ワールドゴルフクラブやスターポイントゴルフセン ターなどの事業を発展させています。
「当初はゴルフ場の経営者になるなんて思ってもみませんでした。でもプロゴルファーで純粋にゴルフ場の経営者になったのは私一人じゃないですか」と野澤社長は言います。

  不良債権、整理回収などの野澤社長の経営手腕は各方面に反響を呼びます。ゴルフ場経営に共通するホテル経営にも力量を発揮し、栃木県内の有名ホテルの再建 にも手を差し伸べました。「ゴルフもホテルも空気を売る仕事で共通するところが多いのです」と、現在も大手ホテルからの再建オファーが後を絶たない状況で す。

 その活躍ぶりで講演会依頼なども殺到。忙しい仕事に追われる野澤社長は自ら大型バスを運転して障害者たちを送迎したり、週3回は 早 朝から市場を回って仕入れの相場を調査する日常を欠かしません。「社員の生活を預かっているのです。社員は宝です。いかにお金の掛からない環境を作ってあ げて、生活を豊かにしてもらいたいから」と、さらりと言う姿に野澤社長の人間としての原点を見ることができます。

Pick up Success in IBARAKI

“不動産、ゴルフ事業、福祉の3本柱で
総合グループ会社へ”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
ゴルフ場関係では首都圏から50キロ圏内の県南と100キロ圏内ではすごい差がある。特に県北は厳しい状況で、その格差は広がりつつある。
質問2経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
全てのことに興味を持つこと。そして勉強を怠ってはいけない。最終的には人の心だ。今回の震災が見直す良いチャンスになった。人の道をしっかりと見て欲しい。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
特にプロモーションは行っていない。これまでやってきた結果、ゴルフなど専門誌や新聞などから取材を受けるようになった。それがアナウンスにつながっている。

これから起業する方への一言

“身の丈にあった自然体としてやっていくこと”

福祉関係にも事業を拡大したが、人間は死ぬときはフラットでプラスマイナスゼロになる。人は機械ではない。社員の目線に近い経営者として、身の丈にあった自然体としてやっていくことで長続きして欲しい。

■徹底したコスト削減に努める
■お客さまに安く非日常を味わってもらう
■社員は宝!社員の家族への思いも忘れず



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