President file
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有限会社 JARDIN
代表取締役社長  深谷 新太郎さん

大卒後10年のブランクを経て帰水。父親の会社を発展させる

不動産会社で10年のキャリアを築いた後、父親の経営する会社へ入社。エクステリア商品の卸会社からハウスメーカーの工事請負、さらにエンドユーザーとの直 接請け負う会社へと転換。社長自身は年中無休で、たまの休みには東京・下町散歩が趣味。おふたりの娘さんとのショッピングも楽しみの一つだそう。

Owners Company
有限会社 JARDIN
TEL.029-252-4770
http://www.gp-jardin.com
水戸市谷津町細田1-28(水戸西流通センター内)

ガーデニング・エクステリアの業界全体を見据え
お客様の希望に沿ったソフトを提案

家の新築に欠かせないのが外構工事。これまでは、住宅の付属物のように扱われていた存在でしたが、住みよさばかりでなく見せる家づくりへとユーザーの意識も変わりつつあり、その重要性が増しています。

 「それでもまだまだ、業界としての地位が確保されていないのです。競合他社ともスクラムを組んで、ユーザーの意識改革に取り組みたい」と、深谷社長は語ります。

 同社は深谷社長の父親が銀行を脱サラして立ち上げた「日工商事」という会社がスタートです。当時はバルコニーなどの外構資材を卸す会社でした。

 深谷社長自身は水戸一高、学習院大学を卒業後、セゾングループの不動産を扱う会社へと入社。大阪で10年間のサラリーマン生活を送ります。10年ぶりに帰水した深谷社長は父親の会社へと入社後、本格的に外構工事関係に関わってきました。

  「最初は資材卸の会社でスタートしていたのですが、やがて取り付けもやってほしいというハウスメーカーなどから依頼を受けているうちに工事部門が立ち上が り、やがてブロックもコンクリートも、とやっているうちに大手建設会社やハウスメーカーとの取り引きが始まっていきました」と振り返ります。やがて気が付 くとハウスメーカーの売り上げが9割を占める会社になっていたといいます。

 しかし深谷社長は「フェンスを張ったりブロックを積んだりと いう仕事ばかりになってしまって、本来のお客様と直に接する仕事をしたい」と、京成百貨店の完成と同時に店舗「JARDIN」をオープンさせます。その時 から、同社は大きく方向転換を図っていくのです。また、外構会社としては珍しい展示場もオープン。水戸市笠原町のハウジングギャラリー内にある展示場で、 春、秋の年に2回、エクステリア・ガーデン相談会やガーデニングの雑貨を販売するなどイベントを開催し、多くの来場者を集めています。「それまでお付き合 いのあったハウスメーカーさんとの取り引きを全部断ったのです。これまでの会社対会社から、エンドユーザーさん対象の会社へと変えたのです」と深谷社長は 大きな決断を実行したのです。

 「売り上げは全体の60~70%になってしまいましたが、会社の中では一体感が生まれました。おかげさま で京成店での反応も良く、ユーザーさんに直接ヒアリングが出来るお庭やエクステリアの設計、ソフト会社として認識されてきました」と、決断が間違いでな かったことを証明したのです。

 深谷社長は「それまではユーザーさんもハウスメーカーさんの言いなりで、私たちもお客様と直接触れ合うこ とが出来ませんでした。お客さまもポストなど気に入らないものがあると、自分でホームセンターなどで買っていました。それが5、6年ほど前から関西圏や中 京圏を中心に外構に対する意識が高まってきたのです」と、新たなムーブメントが起きてきたことを説明してくれました。深谷社長と同社はまさに時代を先取り していたのです。

 「家や庭には流行があります。プロバンス風やイングリッシュガーデンなど時代に応じて好みも変わってきています。最近はパティオをリビングのように使いたいとか青空リビングというように屋上庭園などが人気になっています」と、現在の流行についても教えてくれました。

 さらに、需要は美容、理容、飲食などの店舗や病院、公共施設など住宅以外の建築物でも見込みがあり、非住宅でのエクステリアの受注にも積極的な姿勢を示しています。

 深谷社長自身「大阪にいた会社ではリゾートマンションなどの商品開発も手掛けていたので、外構や街並み設計の仕事にも携わっていました。それが、今の仕事にも役立っています」と、経営面ばかりではなく、図面を引いたり、素材を選ぶ仕事に直接携わっています。

  「慣れが最も怖いことです。この仕事に慣れると、ともすれば自己満足に陥っていまい、『これカッコいいでしょう』という図面をお客様に提案するようになれ ば会社の成長は止まってしまいます。お客様には希望を伝えてくれる人とそうでない人もいますが、最初から最後までお客様のご希望に沿えるようにするための ヒアリング能力も大切な要素なのです」と深谷社長はエンドユーザーのささやきに真摯に耳を傾けているのです。

 深谷社長は今年、年頭のあいさつで同社のキャッチフレーズとして「スピード&チャージ」という言葉を掲げました。
 「『スピード』は文字通り速さのことですが、『チャージ』は『お金を貯めるのではなく、経験値を会社の財産にすること』です。設計や技術も含めてチャージしていきたい」と、会社の未来を見据えています。

  最近、高級志向雑誌がガーデン特集を組んだそうです。深谷社長は「庭がトレンドになりつつあります」と波が来ていることを感じています。冒頭の発言のよう に深谷社長は「マーケットがない業界なので、みんなで協力してマーケットを築いていきたい」と自社ばかりでなく業界全体がユーザーに認知されることも視野 に入れていました。

 お客様に心から満足され、過ごしやすい、愛される家のエクステリアを築き上げるために、今日も深谷社長はお客様に丁寧なヒアリングをしつつ、接客、現場両方へと忙しい日々を過ごしています。

Pick up Success in IBARAKI

“お客様からのヒアリング能力を高める”

質問1茨城は起業するのに適しているか?
高速道港湾などのインフラ、平坦な土地、恵まれた気候、相対的に安い土地価格、首都圏からの距離の近さ等、考えたら恵まれた場所と言える。
質問2 経営を始める際にやるべきこと、また、必要な準備は?
同じ業界以外の人からもらうヒントが多い。最新のトレンドにもアンテナを高くすること。展示会や見本市や雑誌などで流行をつかむこと。
質問3この土地で有効なプロモーション活動は?
一番はホームページ、それに口コミも大きい。情報誌への広告出稿もしている。店舗を水戸京成百貨店内に構えていることも効果がある。

これから起業する方への一言

“今後の日本社会の発展が楽しみだ”

私たちの時代は既存のものへの反発精神から起業する人が多かった。しかし、起業する今の若者たちは肩の力が抜けている人が多くうらやましく感じる。彼らには バブル時代などの成功体験がないので、フラットでナチュラルな考え方の人が多く、楽しんで起業する人が多いように思う。今後の日本社会の発展が楽しみだ。

■エンドユーザーと直接接する
■お客様の希望に沿えるようにヒアリング力を高める
■自社ばかりでなく業界全体を見据える



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